医師のクリニカルパフォーマンス・スコアは、患者の中に無保険者や英語が話せない人の割合が多いと、低スコアになる傾向があることが明らかにされた。米国マサチューセッツ総合病院総合診療部門のClemens S. Hong氏らが、同一の医師グループに帰属するプライマリ・ケア医162人と、その患者約12万5,000人について調べ明らかにしたもので、JAMA誌2010年9月8日号で発表した。
高スコア群医師の患者は低スコア群より、高齢で合併症も多い傾向
研究グループは、2003年1月1日~2005年12月31日にかけて、同一の医師グループ(9つの病院診療所と4つの地域保健センター)に属するプライマリ・ケア医162人のパフォーマンス・スコア「Health Plan Employer and Data Information Set」(HEDIS)と、その患者12万5,303人の属性との関連について、調査を行った。患者のカルテは、共通の電子カルテシステムで管理されていた。
結果、スコアが低い方から三分位の医師の患者の平均年齢は46.6歳だったのに対し、高い方から三分位の医師の患者は51.1歳と、より高齢だった(p<0.001)。また高スコア群の患者は、合併症数の平均値が0.91と、低スコア群の同0.80に比べ多かった(p=0.008)。さらに高スコア群の患者は、診察に訪れる頻度が多く、年間3回超訪れた人の割合は71.0%と、低スコア群の同61.8%を上回っていた(p=0.003)。
高スコア群は、少数人種やメディケイド・無保険者の割合が低率
高スコア群の患者は、少数人種の割合が13.7%と、低スコア群の25.6%に比べ低率だった(p<0.001)ことも明らかになっている。英語を話せない患者の割合も低く、高スコア群3.2%に対し低スコア群は10.2%に上った(p<0.001)。さらに、患者のうち低所得者向けの公的医療保険メディケイド受給者や、無保険者の占める割合も低く、高スコア群9.6%だったのに対し、低スコア群は17.2%だった(p<0.001)。
医師のクリニカルパフォーマンス・スコアについて、勤務場所と診察頻度で補正をした後、さらに患者の属性で補正を行ったところ、36%超(59/162人)のプライマリ・ケア医が、より上位のスコアの三分位範囲に移動した。
(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)