世界の糖尿病有病率は現在、6.4%と推定されており、なかでも新規2型糖尿病患者はこの20年間で激増しているという。糖尿病において食事は、重要かつ潜在的に修正可能なリスク因子とされ、これまで炭水化物や食物繊維の役割に関する研究はされてきたが、果物や野菜の摂取量と2型糖尿病発症率との因果関係は十分には解明されていなかった。そこで、英国レスター大学のPatrice Carter氏らの研究グループは、システマティックレビューとメタ解析を行い両者の因果関係について検討した。BMJ誌2010年9月11日号(オンライン版2010年8月19日号)より。
果物、野菜、果物+野菜の摂取量と2型糖尿病の発症率
Carter氏らは、Medline、Embase、CINAHL、British Nursing Index(BNI)、コクラン・ライブラリをデータソースとして、「糖尿病」「糖尿病前症(prediabetes)」「果物」「野菜」を用いて論文タイトルおよびキーワード検索を行い、専門家による見解と、関連する論文の参照リストが調べられた。
本研究の対象となったのは、「果物」「野菜」「果物と野菜」の摂取量と2型糖尿病の発症率に関して行われた前向きコホート研究が選択された。結果、検索ヒットした3,446研究のうち6つが本研究に適格と判断された。
葉物野菜の摂取量増加が2型糖尿病リスクを低下
6つの研究のうちの4つは、葉物野菜の摂取に関して個別に結果(キャベツ、レタス、ほうれんそう別になど)を提供するものだった。
研究グループは、「果物」「野菜」「果物と野菜」「葉物野菜」のそれぞれの多量摂取群と少量摂取群に着目し分析を行った。
結果、「葉物野菜」について、多量群の方が少量群に比べて2型糖尿病リスクが14%低下する関連が示された(ハザード比:0.86、95%信頼区間0.77~0.97、P=0.01)。「果物」「野菜」「果物と野菜」の摂取量と2型糖尿病の発症率低下については、有意な関連は認められず、多量に摂取することの有益性も有意ではなかった。
これらの結果から研究グループは、「葉物野菜の1日の摂取量の増加は2型糖尿病のリスクを有意に低下させることができる。さらなる検討が必要だ」と結論している。