米国メイヨークリニック大学校のLiselotte N. Dyrbye氏らが、米国医学生を対象に、職業意識とストレス(バーンアウト)について調査した結果、バーンアウト学生には、そうでない学生に比べ、専門家としてふさわしくない行為を行っていたり、社会貢献という意識が低い傾向にあることが明らかになったという。JAMA誌2010年9月15日号掲載より。
回答者の約53%がバーンアウト
研究グループは、2009年春に、米国内7校の医学部学生、4,400人を対象に横断的調査を行い、うち2,682人(61%)から回答を得た。調査には、マスラック・バーンアウト尺度(MBI)、PRIME–MDうつ質問表、SF-8生活の質(QOL)質問表と、専門家としての行為、産業界との適切な関係に関する理解度、医師としての社会的責任などに関する質問が含まれていた。
その結果、MBIの全項目に回答した2,566人のうち、52.8%にあたる1,354人に、バーンアウトが認められた。
彼らが学究上のごまかしや不正といった行為(10%未満)は、専門家らしからぬ患者ケア行為(43%未満)に比べ多くはなかった。産業界との適切な関係に関して理解を有していたのは14%に過ぎなかった。
専門家としてふさわしくない行為、バーンアウト学生では1.76倍
専門家としてふさわしくない行為を一つ以上報告した割合は、バーンアウトが認められた学生は35.0%と、そうでない学生の21.9%に比べ有意に高かった(オッズ比:1.89、95%信頼区間:1.59~2.24)。
適切な医療を受けられない人たちに対し、医療を提供したいとした学生の割合は、バーンアウトが認められなかった学生では85.0%だったのに対し、認められた学生では79.3%と、有意に低率だった(オッズ比:0.68、同:0.55~0.83)。
多変量解析で補正を行った後、バーンアウトは、専門家としてふさわしくない行為を一つ以上報告すること(オッズ比:1.76)、医師の社会的責任について社会貢献するとの視点が一つ以上少ないこと(オッズ比:1.65)と、それぞれ独立して関連する予測因子であることが明らかになったという。
(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)