中等度リスク神経芽腫、低用量化学療法でも高い生存率達成

提供元:ケアネット

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公開日:2010/10/13

 



小児がんのうち脳腫瘍に次いで頻度の高い神経芽腫について、中等度リスク患児への化学療法の期間を短縮かつ用量を減量しても、非常に高い生存率が達成されたことが、オーストラリアPrincess Margaret Hospital for ChildrenのDavid L. Baker氏ら小児がん研究グループにより報告された。中等度リスク神経芽腫への大量化学療法の生存率は、良好であることが示されているが、より期間を短縮かつ用量を減じた場合の転帰については明らかになっていなかった。NEJM誌2010年9月30日号より。

腫瘍の生物学的特徴に基づき治療サイクルを割り付け




Baker氏らは、腫瘍の生物学的特徴に基づき治療を割り付ける手法を用いて、治療継続期間および薬剤投与量を減じた場合でも、3年推定全生存率90%以上を維持できるかどうかを検証する前向き第3相非無作為化試験を行った。

試験対象は、新たに中等度リスク神経芽腫と診断された、MYCN増幅のない患児が適格とされた。具体的にはステージ3または4の乳児(年齢<365日)、腫瘍の組織病理学的特徴が良好なステージ3の小児(年齢≧365日)、およびステージ4SでDNA指標二倍体または組織病理学的な特徴が良好でない乳児が含まれた。

被験者は、組織病理学的な特徴が良好で染色体二倍状態の患者は4サイクルの化学療法群に、不完全奏効または病理学的特徴が良好でない患者は8サイクルの化学療法群に割り付けられ追跡された。

より厳正なリスク層別化で、さらなる低用量化が期待される




本研究に登録された適格患児は、1997~2005年の間で合計479例(ステージ3:270例、ステージ4:178例、ステージ4S:31例)だった。また、腫瘍の生物学的特徴が良好だったのは323例、141例は良好ではなかった。

遺伝子倍数の関係性は、転帰の有意な予測因子だったが、組織病理学的特徴は転帰の有意な予測因子ではなかった。

疾患進行は伴わない重度有害事象の発生は、10例(2.1%)で認められた。内訳は、2次性白血病3例、感染症による死亡3例、手術時合併症による死亡4例だった。

全体の3年推定全生存率(±SE)は、96±1%であった。生物学的特徴が良好であった患児では98±1%、同特徴が良好ではなかった患児では93±2%だった。

これらから研究グループは、中等度リスク神経芽腫の患児に対し、以前の試験での処方プランと比較して、腫瘍の生物学的特徴に基づき投与期間・量をかなり短く減量した化学療法群で、高率な生存率が達成されたと述べ、「本結果は、より厳正なリスク層別化が、さらなる低用量化学療法を支持することを提示するものである」と結論している。

(朝田哲明:医療ライター)