小児肥満症の蔓延は世界中で驚くべき早さで進行している。そうした中で、虚血性心疾患(CHD)の危険因子が肥満児においてすでに同定可能となっているが、小児期の過体重が成人期のCHDに及ぼす長期的影響の重要性についてはまだ明らかにされていない。その点について予防医学研究所(デンマーク・コペンハーゲン)のJennifer L. Baker氏らのグループが調査を行った。NEJM誌12月6日号より。
小児期BMIと成人期虚血性心疾患の関連を27万余調査
研究グループは、小児期(7~13歳)の肥満度指数BMIと成人期(25歳以上)のCHDとの関連を、出生時体重で補正した場合としない場合とについて調査した。
対象は、出生児の身長および体重データが入手できたデンマークの小児276,835例。CHDイベントは全国登録データとの照合によって確認し、コックス回帰分析によって解析された。
女児より男児で強く相関
506万3,622人年のフォローアップ期間中、小児期BMIデータが入手できた男性10,235例と女性4,318例は、成人してからCHDの診断を受けたかCHDで死亡していた。
成人期のCHDイベントのリスクは、非致死的イベント、致死的イベントにかかわらず、男児は7~13歳、女児は10~13歳時のBMIと正の相関を示した。関連は各年齢層において線形を示し、リスクはBMIの分布全体で増大していた。さらに、リスクは小児の年齢が上がるほど増大した。出生時体重で補正したところ、その結果はさらに強化された。
これらから研究グループは、小児期の高BMIは成人期のCHDリスクの増加と関連していると結論。さらにこの関連は女児より男児で強く、男女とも加齢に伴い増大する傾向があったことも報告されている。
最後に、「世界中で小児肥満が増えていることは、将来的にCHDリスクを持つ成人の数が世界規模で増すことを意味するものだ」とも述べている。
(朝田哲明:医療ライター)