入院、転倒外傷は、虚弱高齢者をさらに弱らせる

高齢者のうち、特に虚弱であったり、内科疾患や外傷(いわゆるイベント)が、新規障害の発生や既存障害の悪化を大きく増大する可能性があることが、エール大学医学部内科部門のThomas M Gill氏らによる長期追跡試験の結果、報告された。これまで、イベントの障害度移行への影響については明らかになっていなかった。JAMA誌2010年11月3日号掲載より。
10年にわたり、障害度間、死亡への移行状況を追跡
研究グループは、1998年3月~2008年12月の間に、コネチカット州ニューヘブンに住む、70歳以上の754人を対象に前向きコホート研究を行った。被験者は基線で、4つの基本的なADL(入浴、着替え、歩行、移動動作)に障害を有していなかった。
被験者は、イベント(内科疾患が外傷により入院または活動性の制限に至ったもの)の影響を確認するため、10年以上の間毎月、電話インタビューにより身体障害の評価が行われた。また、身体的な虚弱(10m往復歩行テストで10秒超かかると定義)は、18ヵ月ごとに108ヵ月間にわたって評価が行われた。
主要評価項目は、毎月評価した、非身体障害、軽度身体障害、重度身体障害の各障害度間の移行状況と、各障害度から死亡への移行状況とした。
入院、活動性の制限が、障害度の悪化に強く関連
移行としてあり得る9つのパターンのうち8つと、入院との間に強い関連があることが認められた。入院により非身体障害から重度身体障害への移行は168倍増大することが認められた(多変量ハザード比:168、95%信頼区間:118~239)。一方で、軽度から非身体障害への移行は0.41倍と低かった(同:0.41、0.30~0.54)。
活動性の制限も関連は強く、非身体障害から軽度身体障害へは2.59倍、重度身体障害へは8.03倍、移行を増大した。軽度から重度への移行は1.45倍で、軽度あるいは重度からの回復については関連が認められなかった。
全9つの移行パターンについて、身体的虚弱があると、イベント関連を増大した。たとえば、入院後1ヵ月以内の非身体障害から軽度身体障害への移行の絶対リスクは、虚弱がある人は34.9%だったのに対し、虚弱でない人は4.9%だった。
また、移行理由として考えられるパターンの中でも入院、転倒外傷が、新たな障害を引き起こしたり悪化している障害を進展させる可能性が最も高かった。
(武藤まき:医療ライター)
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