便潜血検査による大腸がん検診継続受診の効果とは?

提供元:ケアネット

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公開日:2010/11/19

 



英国政府から、国民医療保険サービス(NHS)に便潜血検査による大腸がん検診を導入することの意義を検証するよう依頼を受けたダンディー大学外科部門のR J C Steele氏らは、初回検診(prevalence screening)と継続検診(incidence screening)の受診率および効果について検証した。検診で用いられる便潜血検査では、1回目と2回目以降では陽性率、陽性適中率が低下するが、一方で、検診を定期的に繰り返し受けることの効果については明らかになっていなかった。BMJ誌2010年11月6日号(オンライン版2010年10月27日号)掲載より。

勧告し続けることが受診者増につながる




Steele氏らは、スコットランドの東部と北東部の2地域で50~69歳住民を対象に、便潜血検査を用いた隔年実施の大腸がん検診の結果について、2000年3月~2007年5月に行われた3回実施分について検証した。

主要評価項目は、受診率、陽性率(再検査および内視鏡検査が必要と判断された人の割合)、陽性適中率、検出したがんのステージとした。

3回合計の検診実施件数は、51万990例だった。そのうち初回検診は24万8,998例(48.7%)、継続検診1回目は16万3,483例(32.0%)、同2回目は9万8,509例(19.3%)だった。また、初回検診を第1回実施時に受けた人は53%、第2回実施時は15%、第3回実施時は12%だった。

第1回実施時に受診勧告を受けた人の初回受診率は、3回実施の間に55%から63%へと上昇した。

第1回実施時に受診勧告を受けた人の継続受診率は1回目54%、2回目46%だった。また第2回実施時に受診勧告を受けた人の継続受診率は86%だった。

初回検診での見逃しも継続検診で




初回検診での陽性率は1.9%だった。内視鏡検査を受診した人は87%だった。また、継続検診1回目の人の同率はそれぞれ1.7%と90%、2回目の人の同率は1.1%と94.5%だった。

便潜血試験結果で陽性だった人のがん陽性適中率は、初回検診では11.0%、継続検診1回目では6.5%、同2回目では7.5%だった。また腺腫陽性適中率は、同35.5%、29.4%、26.7%だった。

がんステージⅠだった割合は、初回検診では46.5%だったが、継続検診1回目は41%、同2回目は35%と低下した。

これら結果を踏まえ著者は、「未受診者への受診勧告を繰り返すことは、初回検診および継続検診の受診者数の増加につながっていた。がん・腺腫の陽性適中率は、初回検診と継続検診1回目とでは低下したが、継続検診1回目と2回目では低下していない。がんステージが初回検診と継続検診で悪化していたのは、初回検診で見逃しがあったことを示すものだろうが、ステージ分類は良好である」と述べ、「これら結果は、未受診者への受診勧告をし続けること、および受診者への継続検診を勧告し続ける政策の正当性を証明するものである」と結論している。