心筋血流イメージングを受けた人の約3割が複数放射線検査で累積線量は100mSv超

提供元:ケアネット

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公開日:2010/11/30

 



心筋血流イメージング(MPI)を受けた患者1,000人超について調べたところ、累積的に受けている放射線検査回数の中央値が15回に上ることが明らかになった。そのうち4回は高線量の検査であったという。米国コロンビア大学医療センター循環器部門のAndrew J. Einstein氏らが報告したもので、JAMA誌2010年11月17日号(オンライン版2010年11月15日号)で発表した。MPIは1回の放射線量が最も高い検査である。これまでの調査で、米国民の多くがMPIなど放射線検査を繰り返し受けていることは明らかになっているが、その実態については明らかになっていなかった。

放射線検査の中央値は15回、うち4回が高線量




研究グループは、2006年1月1日~4月10日の間に、ニューヨークにあるコロンビア大学医療センターでMPIを受けた患者1,097人について、後ろ向きコホート試験を行った。被験者が1988年10月~2008年6月までに同センターで受けた、電離放射線イメージング検査について調査を行った。

その結果、被験者の受けた放射線検査回数の中央値は15回(四分位範囲:6~32、平均23.9)だった。そのうち、1年間で3mSv以上といった高線量の検査回数の中央値は4回(同:2~8、平均6.5)であり、MPI検査の回数の中央値は1回(同:1~2、平均1.8)だった。

すべての医学的検査を合わせた累積推計100mSvを超える放射線量を受けていたのは、344人(31.4%)に上った。

複数回MPIを受けた人の累積推計放射線量は121mSv




複数回MPI検査を受けていたのは全体の38.6%にあたる424人で、その累積推計放射線量は121mSv(同:81~189、平均149mSv)だった。

また被験者の中でも、男性、白人が、累積推計放射線量の値が多い傾向が認められた。さらに、初回MPI検査を受けた人の80%またはMPI検査を2回以上受けた人の90%が、すでに血管系の疾患の診断を受けていたり、その症状が認められる人だった。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)