携帯電話のショートメールサービスのサポートで患者のアウトカムが改善

提供元:ケアネット

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公開日:2010/12/09

 



ケニアのHIV感染患者を対象とした無作為化試験で、患者に携帯電話のショートメールサービス(SMS)を使ったサポート介入を行ったところ、非介入群と比べ抗レトロウイルス治療(ART)のアドヒアランスおよびウイルス抑制の割合が改善されたことが報告された。ケニア・ナイロビ大学医療微生物学部門のRichard T Lester氏らが実施報告したもので、「医療資源が不十分な環境で、携帯電話は患者のアウトカムを改善する効果的なツールとなる可能性がある」と結論している。Lancet誌2010年11月27日(オンライン版2010年11月9日号)掲載より。

週1回メッセージを送信、12ヵ月間の介入効果を検証




医療サービス提供を改善する手段として携帯電話が提案されているが、医療資源が不十分な環境で、携帯電話が患者のアウトカムにもたらす効果に関するデータは限られているという。そこでLester氏らはケニアで、医療従事者とARTを開始する患者との携帯電話を介したコミュニケーションが、服薬アドヒアランスおよび血漿HIV-1 RNA量を改善するかを目的とする、多施設共同無作為化試験「WelTel Kenya1」を行った。

試験は2007年5月~2008年10月の間に、ケニアの3つのクリニックで行われ、538例の患者が、SMS介入群(273例)か通常ケア群(265例)に無作為化された。SMS介入群の患者には、週1回、クリニックのナースからメッセージが送信され、患者は48時間以内に返信をすることになっていた。

主要評価項目は、追跡12ヵ月時点での、自己申告によるARTアドヒアランス(追跡6ヵ月と12ヵ月時点で尋ねた過去30日間の処方薬の服薬割合が95%超)、血漿HIV-1 RNA量の抑制(<400コピー/mL)とした。

アドヒアランス、ウイルス抑制ともに改善




ARTアドヒアランスは、SMS介入群では168/273例、通常ケア群では132/265例が報告され、非アドヒアランスの相対リスクは0.81(95%信頼区間:0.69~0.94、p=0.006)だった。

ウイルス抑制は、SMS介入群では156/273例、通常ケア群では128/265例が報告され、ウイルス学的な治療失敗の相対リスクは0.84(同:0.71~0.99、p=0.04)だった。

95%超のアドヒアランス達成に要する治療数(NNT)は9例(95%信頼区間:5.0~29.5)であり、ウイルス抑制についての同NNTは11例(同:5.8~227.3)だった。