選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)のescitalopramは、閉経期のほてりの頻度や程度を軽減することが示された。服用後8週間で、ほてりの頻度が半分以下に減少したと報告した人は、escitalopram群の50%に上った。米国ペンシルベニア大学産科婦人科のEllen W. Freeman氏らが、200人超の女性を対象に行った無作為化プラセボ対照二重盲検試験の結果明らかにしたもので、JAMA誌2011年1月19日号で発表した。閉経後のエストロゲンとプロゲスチン投与に関して、効用よりもリスクが上回るとする試験結果が発表されて以来、閉経期のほてりに対する効果的治療薬は他にないのが現状という。
escitalopramとプラセボを投与し8週間追跡
研究グループは、2009年7月~2010年6月にかけて、40~62歳の閉経期の女性、205人(アフリカ系アメリカ人95人、白人102人、その他8人)について調査を行った。被験者の平均年齢は53歳だった。
同グループは被験者を無作為に2群に分け、一方の群にはescitalopram 10~20mg/日を、もう一方にはプラセボを8週間投与し追跡した。
主要評価項目は、服用後4週と8週時点の、ほてりの頻度と程度で、被験者の日記に基づき評価を行った。副次評価項目は、ほてりの程度、臨床改善指数(基線から50%以上ほてりの頻度が減少と定義)とした。
ほてりの頻度減少幅、escitalopram群4.6回に対しプラセボ群が3.2回
試験開始時点での、被験者のほてりの回数は、1日平均9.78回(標準偏差5.60)だった。
8週後、1日のほてりの頻度の減少幅は、プラセボ群が平均3.20回(95%信頼区間:2.24~4.15)だったのに対し、escitalopram群では平均4.60回(同:3.74~5.47)で、両群の平均差は1.41回(同:0.13~2.69)だった(p<0.001)。
8週時点で、ほてりの頻度が半分以下に減ったと答えた人の割合は、プラセボ群が36%に対し、escitalopram群では50%だった(p=0.009)。
ほてりの程度の軽減幅に関する平均スコアも、プラセボ群が-0.30(95%信頼区間:-0.42~-0.17)に対し、escitalopram群では-0.52(同:-0.64~-0.40)だった(p<0.001)。
なお、薬の有害事象が原因で服用を中止したのは、escitalopram群7人、プラセボ群2人で、全体被験者の4%だった。
治療終了後3週間の1日のほてりの回数について、escitalopram群の被験者の方がプラセボ群と比べて平均1.59回(95%信頼区間:0.55~2.63)多かった(p=0.02)。
(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)