変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)の診断のための血液検査法が、イギリス・ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン神経学研究所のJulie Ann Edgeworth氏らによって開発され、今回、その有用性が確認された。vCJDは牛海綿状脳症様プリオンの曝露に起因する致死的な神経変性疾患で、プリオン感染後は長期の臨床的に無症状な潜伏期間がある。無症候性のプリオン感染者数は把握されておらず、輸血、血液製剤、臓器や組織の移植片、汚染された医療機器を介する他者への感染リスクが懸念されている。Lancet誌2011年2月5日号(オンライン版2011年2月3日号)掲載の報告。
正常対照100人を含む190人の血液サンプルを分析
研究グループは、vCJDプリオン感染を検出する血液検査法を開発し、その感度および特異度を確認するための検討を行った。
190人の血液サンプル(vCJD 21例、散発性CJD 27例、他の神経疾患42例、正常対照100人)のパネルを用いて、内因性vCJDの検出の感度および特異度を分析した。
血液サンプルは盲検化されて個々に番号が付され、2回ずつの検査が行われた。2回の検査ともに反応がみられたサンプルのみを陽性とした。
感度:71.4%、特異度:100%
10(−10)に希釈された内因性vCJDプリオン感染脳の化学発光シグナルの平均値が1.3×10(5)[SD 1.1×10(4)]であったのに対し、10(−6)希釈正常脳は9.9×10(4)[SD 4.5×10(3)]であり、両者は明確に識別が可能であった(p<0.0001)。
15サンプルが陽性と判定された。そのすべてがvCJD例のサンプルであり、本検査法の感度は71.4%(95%信頼区間:47.8~88.7)、特異度は100%(同:97.8~100)であった。
著者は、「本法は、症状のみられる患者のvCJD診断における血液検査のプロトタイプであり、無症候性のvCJDプリオン感染の大規模なスクリーニング法の開発につながる可能性がある」と結論している。
(医学ライター 菅野 守)