自動血圧測定でプライマリ・ケアにおける白衣高血圧が減少

提供元:ケアネット

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公開日:2011/02/25

 



プライマリ・ケアにおける収縮期高血圧患者の血圧測定法として、現行の手動診察室血圧測定よりも、自動測定装置を用いた診察室測定の方が質や正確度が優れ、白衣高血圧が減少することが、カナダ・トロント大学のMartin G Myers氏らの検討で示された。日常診療で医療従事者が手動で行う血圧測定の正確度への関心が高まるに従い、自動測定装置による家庭や外来での血圧測定に対する信頼が増しているという。診察室での自動測定装置を用いた血圧測定を、患者が静かな部屋で落ち着いた状態で独りで行うことで、手動測定の欠点の多くが解消することが示唆されている。BMJ誌2011年2月12日(オンライン版2011年2月7日号)掲載の報告。

診察室における手動と自動血圧測定を比較するクラスター無作為化試験




研究グループは、手動による診察室血圧測定と、自動測定装置を用いた診察室血圧測定のgold standardとしての質と正確度を評価するクラスター無作為化対照比較試験を実施した。

対象は、カナダ東部地域5都市の67施設において88名のプライマリ・ケア医の治療を受けている重篤な併存疾患のない収縮期高血圧患者555例。これらの患者が、診察室で手動で行う血圧測定を受ける群(対照群)あるいは診察室で自動測定装置による複数回の血圧測定を行う群(介入群)に無作為に割り付けられた。登録前に、全例において24時間自由行動下血圧測定を行い、覚醒時の平均血圧を算出した。

登録前の最後のルーチンの手動診察室血圧値をカルテで確認し、両群の登録後の診察室血圧の測定値と比較し、さらに覚醒時血圧との比較を行った。主要評価項目は、(覚醒時血圧−自動診察室血圧)と(覚醒時血圧−手動診察室血圧)の収縮期血圧(SBP)の差とした。

主要評価項目:−2.3 vs. −6.5mmHg(p=0.006)、自動測定の方が覚醒時SBPとの差が小さい




31施設(252例)が対照群に、36施設(303例)が介入群に無作為に割り付けられ、それぞれ249例、299例が解析の対象となった。

対照群では、登録前のルーチンの手動診察室血圧[149.9(SD 10.7)/81.8(SD 8.5)mmHg]が、登録後にはSBPが8.5mmHg、拡張期血圧(DBP)は1.6mmHg低下し[141.4(SD 14.6)/80.2(SD 9.5)mmHg]、いずれも有意差を認めた(p<0.001/p=0.01)。これに対し、介入群では登録の前後でSBPが13.9mmHg[149.5(SD 10.8)→135.6(SD 17.3)mmHg]、DBPが3.7mmHg[81.4(SD 8.3)→77.7(SD 10.9)mmHg]低下しており(p<0.001/p=0.02)、いずれも低下の程度が対照群に比べて大きかった。

登録後の初回受診時における介入群の覚醒時自由行動下血圧と自動診察室血圧の差の平均値は、SBPが−2.3mmHg(95%信頼区間:−0.31~−4.3)、DBPは−3.3mmHg(同:−2.2~−4.4)、対照群における覚醒時血圧と手動診察室血圧の差はSBPが−6.5mmHg(同:−4.3~−8.6)、DBPは−4.3mmHg(同:−2.9~−5.8)であり、いずれも介入群の方が覚醒時血圧との差が小さく、SBPには有意差が認められた(p=0.006)。

登録後の自動診察室血圧(SBP/DBP)と覚醒時血圧との群内相関(r=0.34/r=0.56)は、登録前の手動診察室血圧と覚醒時血圧の相関(r=0.10/r=0.40)よりも強く、その差はSBPが0.24(95%信頼区間:0.12~0.36)、DBPは0.16(同:0.07~0.25)であった(p<0.001/p<0.001)。

自動診察室DBPと覚醒時血圧の群間相関(r=0.56)は、手動診察室DBPと覚醒時血圧の群間相関(r=0.30)よりも強く、その平均差は0.26(95%信頼区間:0.09~0.41)であった(p<0.001)。

測定値の末尾数字を0に丸める選好によるバイアスは、実質的に自動診察室測定の方が小さかった。

著者は、「プライマリ・ケアにおける収縮期高血圧患者の診察室血圧測定では、自動測定の導入により、現行の手動測定に比べ白衣高血圧が有意に減少した。自動測定の質および正確度を覚醒時自由行動下血圧との比較で評価したところ、手動測定よりも有意に優れていた」と結論している。

(菅野守:医学ライター)