強化血糖降下療法を受けた、進行した糖尿病を有する心血管ハイリスク患者の5年転帰:ACCORD

提供元:ケアネット

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公開日:2011/03/23

 



平均3.7年間の強化血糖降下療法を受けたACCORD試験被験者の5年転帰について、標準療法を受けた被験者と比較した結果が明らかにされた。死亡および主要な心血管イベントに関する5年転帰を解析した結果、非致死的心筋梗塞の5年発生率は減少したが、5年死亡率は増大が認められたという。この結果を受けACCORD試験グループは、「進行した2型糖尿病を有するハイリスク患者に対する強化血糖降下療法は、治療戦略として推奨できない」と結論した。NEJM誌2011年3月3日号掲載より。

強化血糖降下療法群は全死因死亡が多く、平均3.7年追跡後に標準療法に




ACCORD試験は、2型糖尿病で心血管疾患もしくは心血管疾患の追加危険因子を有する被験者を、強化療法群(糖化ヘモグロビン値6.0%未満を目標とする)または標準療法群(同7~7.9%を目標)に無作為に割り付け追跡された。

試験は開始後、強化療法群での死亡が多く2008年2月5日に強化療法が中止となり、強化療法の被験者は標準療法に切り替えられ、全被験者が予定された試験終了まで追跡され、主要評価項目などのデータが集められた。強化療法群は、強化療法を平均3.7年、標準療法を平均1.2年受けた。

強化療法群の死亡リスク、介入中止前1.21倍、全追跡期間1.19倍




解析の結果、強化療法中止前の主要アウトカム(非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中または心血管系原因による死亡の複合)発生率は、強化療法群と標準療法群に有意差はなかった(P=0.13)。しかし強化療法群で、全死因死亡(主に心血管系による)がより多く(ハザード比:1.21、95%信頼区間:1.02~1.44)、非致死的心筋梗塞がより少ないことが認められた(同:0.79、0.66~0.95)。

そうした傾向は、全追跡期間に認められた(死亡ハザード比:1.19、95%信頼区間:1.03~1.38、非致死的心筋梗塞ハザード比:0.82、95%信頼区間:0.70~0.96)。

強化療法中止後、強化療法群の糖化ヘモグロビン値の中央値は中断前の6.4%から7.2%に上昇し、血糖降下薬の投与、重篤な低血糖や他の有害事象の発現率は両群で同程度であった。

(朝田哲明:医療ライター)