ピオグリタゾン、耐糖能異常から2型糖尿病への進行リスクを低下

提供元:ケアネット

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公開日:2011/04/06

 



ピオグリタゾン(商品名:アクトス)は、耐糖能異常(IGT)から2型糖尿病への進行リスクを低下する効果があることが、無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験により示された。72%の進行リスク低下が認められたという。一方で有意な体重増加と浮腫も認められた。米国・テキサス大学健康科学センター/糖尿病研究所のRalph A. DeFronzo氏ら「ACT NOW」スタディグループが行ったもので、耐糖能異常は心血管疾患の発生率増大や、2型糖尿病への進展との関連が認められることから、それら発生を予防したり遅延可能とする介入は臨床的に非常に重要であるとして本試験を行ったという。NEJM誌2011年3月24日号掲載より。

耐糖能異常を有する602例を対象に無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験




試験は、ピオグリタゾンが、耐糖能異常を有する成人男女[18歳以上、経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)2時間値140~199mg/dL、BMI値25以上]の2型糖尿病リスクを低減できるかどうかを目的に行われた。

計602例の被験者が無作為に、ピオグリタゾン群(当初30mg/日、無作為化後45mg/日)かプラセボ群に割り付けられ追跡された。被験者には最初の1年は2ヵ月ごとにその後は3ヵ月に1回の受診が求められ、空腹時血糖値測定が年4回、OGTTが年1回行われた。

主要アウトカムは、糖尿病への進展(空腹時血糖値≧126mg/dLかOGTT2時間値≧200mg/dL)で、繰り返された検査の結果を基に診断された。

2型糖尿病の年間発生率、ピオグリタゾン群2.1%、プラセボ群7.6%




追跡期間中央値は2.4年だった。

2型糖尿病の年間発生率は、ピオグリタゾン群2.1%に対しプラセボ群7.6%と、ピオグリタゾン群での有意な発生低減が認められた(ハザード比:0.28、95%信頼区間:0.16~0.49、P<0.001)。

また耐糖能の正常化が、ピオグリタゾン群で48%に認められた。プラセボ群は28%であった(P<0.001)。

プラセボ群との比較でピオグリタゾン治療による、空腹時血糖値の有意な低下(11.7mg/dL対8.1mg/dL、P<0.001)、OGTT2時間値の有意な低下(30.5mg/dL対15.6mg/dL、P<0.001)、HbA1cの有意な低下(0.04ポイント減対0.20ポイント増、P<0.001)も認められた。

また、拡張期血圧の低下(2.0mmHg対0.0mmHg、P=0.03)、頸動脈内膜中膜肥厚度の低下(31.5%、P=0.047)、HDLコレステロール値上昇がより大きい(7.35mg/dL対4.5mg/dL、P=0.008)ことも認められた。

なお、プラセボ群と比べてピオグリタゾン群では体重増加が大きく(3.9kg対0.77kg、P<0.001)、浮腫の頻度が高かった(12.9%対6.4%、P=0.007)。

(武藤まき:医療ライター)