新世代の薬剤溶出性ステントであるzotarolimus溶出ステント(Resolute)とエベロリムス溶出ステント(Xience V)の安全性と有効性は、2年後もその同等性が維持されていることが、ドイツ・Isar心臓センターのSigmund Silber氏らが進めているRESOLUTE All Comers試験で明らかとなった。本試験は、冠動脈病変を有する患者におけるzotarolimus溶出ステントのエベロリムス溶出ステントに対する非劣性を検証するプロスペクティブな無作為化試験。すでに、フォローアップ期間1年におけるステント関連の標的病変不全発生の同等性が確かめられている。Lancet誌2011年4月9日号(オンライン版2011年4月3日号)掲載の報告。
2年間の臨床転帰の報告
RESOLUTE All Comers試験の研究グループは、今回、事前に規定された2年間のフォローアップの臨床転帰について報告を行った。
2008年4月30日~10月28日までに、ヨーロッパとイスラエルの17施設から、1つ以上の冠動脈病変(直径2.25~4.0mm)を有し、50%以上の狭窄がみられる患者が登録され、zotarolimus溶出ステントを留置する群あるいはエベロリムス溶出ステントを留置する群に無作為に割り付けられた。
主治医には治療割り付け情報が知らされたが、データの管理や解析を行うスタッフ、および患者にはマスクされた。治療病変数や血管数、および留置するステント数には制限を設けなかった。
2年後のステント関連の複合アウトカム(心臓死、標的血管に起因する心筋梗塞、虚血に基づく標的病変の血行再建術)および患者関連の複合アウトカム(全死亡、全心筋梗塞、全血行再建術)について評価した。
ステント関連複合アウトカム:11.2% vs. 10.7%、患者関連複合アウトカム:20.6% vs. 20.5%
2,292例が登録され、zotarolimus溶出ステント群に1,140例が、エベロリムス溶出ステント群には1,152例が割り付けられ、2年間のフォローアップを完遂したのはそれぞれ1,121例、1,128例であった。
ステント関連および患者関連の複合アウトカムの発生率はいずれも両群間に有意な差を認めなかったが、ステント関連複合アウトカムは患者関連複合アウトカムよりも実質的に発生率が低かった。すなわち、ステント関連複合アウトカムはzotarolimus溶出ステント群が11.2%(126/1,121例)、エベロリムス溶出ステント群は10.7%(121/1,128例)であり(群間差:0.5%、95%信頼区間:-2.1~3.1、p=0.736)、患者関連複合アウトカムはそれぞれ20.6%(231/1,121例)、20.5%(231/1,128例)であった(群間差:0.1%、95%信頼区間:-3.2~3.5、p=0.958)。
1年以上が経過した後に発現した超遅発性(very late)のステント血栓症は、両群とも3例ずつに認められた。
著者は、「2つの新世代の薬剤溶出性ステントの安全性と有効性の同等性は2年後も維持されていた」と結論し、「病変の臨床的背景が複雑な患者において、ステント関連イベントよりも患者関連イベントが高率に発生したことは、長期のフォローアップ期間中には、特定の病変に対していずれのステントを選択するかという問題と少なくとも同程度に、より強力な2次予防や総合的な治療の最適化が重要であることを強く示唆する」と指摘している。
(菅野守:医学ライター)