ステージ3~5の慢性腎臓病(CKD)の進行予測モデルとして、従来の推定糸球体濾過量(eGFR)やアルブミン尿に加え、血清カルシウム(Ca)、血清リン、血清重炭酸塩、血清アルブミン値を追加することで、精度が向上することが示された。米国・ボストンにあるタフツ医療センターのNavdeep Tangri氏らが、CKD患者8,000人超について行った試験で明らかにしたもので、JAMA誌2011年4月20日号(オンライン版2011年4月11日号)で発表した。
CKDステージ3~5の、開発コホート約3,500人、検証コホート約5,000人について検討
研究グループは、2001年4月1日~2008年12月31日にかけて、腎臓病専門医に紹介されたステージ3~5のカナダ人のCKD患者(eGFR値:10~59mL/分/1.73m2)の2コホートについて試験を行った。
開発コホートの被験者数は3,449人で、うち386人(11%)が腎不全、検証コホートの被験者数は4,942人で、うち1,177人(24%)が腎不全だった。
Cox比例ハザードモデルを用いて予測モデルを作成し、C統計量、統合判別改善(IDI)、キャリブレーション・プロット、赤池情報量基準(AIC)などを用いてモデルを評価した。
試験開始後1、3、5年の時点で、ネット再分類改善率(NRI)を調べた。
最高精度モデルで、C統計量は0.84~0.92
結果、最も精度が高かった予測モデルは、年齢、性別、eGFR、アルブミン尿、血清Ca、血清リン、血清重炭酸塩、血清アルブミン値を追加したものだった(開発コホートのC統計量:0.917、95%信頼区間:0.901~0.933、検証コホートのC統計量:0.841、同:0.825~0.857)。
検証コホートにおいて、同予測モデルの予測精度は、年齢、性別、eGFR、アルブミン尿から成る簡素化モデルよりも高かった。IDIは3.2%(95%信頼区間:2.4~4.2%)、キャリブレーション(NamとD’Agostinoのχ2統計量)は簡素化モデル32に対し19、CKDステージ3へのNRIは8.0%(95%信頼区間:2.1~13.9%)、同ステージ4へのNRIは4.1%(同:-0.5~8.8)だった。
(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)