重症びまん性外傷性脳損傷に対する早期減圧開頭術の有効性は?

重症びまん性外傷性脳損傷で治療抵抗性頭蓋内圧亢進を伴う成人患者に対し、早期に両前頭側頭頭頂骨減圧開頭術を行うことは、頭蓋内圧の低下およびICU入室期間を短縮するが、転帰はより不良であることが示された。これまで同治療戦略の有効性については不明であったが、オーストラリア・アルフレッド病院集中治療部のD. James Cooper氏らが多施設共同無作為化試験「DECRA」の結果、明らかにした。NEJM誌2011年4月21日号(オンライン版2011年3月25日号)掲載より。
155例を早期減圧開頭術か標準治療を受ける群に無作為化
試験は2002年12月から2010年4月にかけて、重症びまん性外傷性脳損傷で頭蓋内圧亢進を有し、初期治療が有効ではなかった155例を対象とし、無作為に、両前頭側頭頭頂骨減圧開頭術を受ける群か、標準治療を受ける群に割り付け追跡した。
当初主要転帰(original primary outcome)は転帰不良(死亡・植物状態・高度障害の複合)で、術後6ヵ月時点で拡張グラスゴー転帰スケールにより評価した。最終主要転帰(final primary outcome)は、6ヵ月時点での拡張グラスゴー転帰スケールのスコアとした。
早期減圧開頭術群、頭蓋内圧低下およびICU入室期間短縮も、転帰不良が倍増
結果、早期減圧開頭術群の患者は、標準治療群と比較して、頭蓋内圧が治療閾値を上まわった時間が短く(P<0.001)、頭蓋内圧亢進に対する介入が少なく(すべての比較のP<0.02)、ICU入室日数が短かった(P<0.001)。
しかし、早期減圧開頭術群の患者の拡張グラスゴー転帰スケールのスコアは、標準治療群の患者と比べて悪く(オッズ比:1.84、95%信頼区間:1.05~3.24、P=0.03)、転帰不良のリスクが大きかった(オッズ比:2.21、95%信頼区間:1.14~4.26、P=0.02)。
なお6ヵ月時点の死亡率は、早期減圧開頭術群(19%)と標準治療群(18%)で同程度だった。
(武藤まき:医療ライター)
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