胃食道逆流症(GERD)に対する、腹腔鏡下逆流防止術(laparoscopic antireflux surgery;LARS)とプロトンポンプ阻害薬esomeprazole投与による治療について、5年寛解率は同等であることが示された。フランス・Nantes大学のJean-Paul Galmiche氏らが行った国際多施設共同無作為化試験「LOTUS」の結果によるもので、JAMA誌2011年5月18日号で発表された。GERDは慢性・再発性の疾患で日常生活に支障を来す。治療としては、長期薬物療法もしくは手術療法の2つのオプションがあるが、LOTUS試験は、いずれが至適であるかを目的に行われた。
ヨーロッパ11ヵ国の病院で、GERD患者554人を5年間追跡
LOTUS(Long-Term Usage of Esomeprazole vs Surgery for Treatment of Chronic GERD)は5年探索無作為化オープン平行群試験で、2001年10月~2009年4月にかけて、ヨーロッパ11ヵ国の教育病院で、慢性GERD患者554人を対象とした。
被験者は無作為に、esomeprazole 20~40mg/日投与群(266人)と、LARS施行群(288人中248人が手術実施)に割り付けられ追跡された。患者は全員、治療開始当初、胃酸分泌抑制治療に反応性だった。
主要評価項目は、治療失敗までの時間(esomeprazole群は投与量調整後も症状がみられる場合と定義、LARS群は胃酸分泌抑制を要した場合と定義)とし、推定5年寛解率で検討した。解析にはKaplan-Meier法を用いた。
被験者のうち5年間追跡できたのは、合わせて372人(esomeprazole群192人、LARS群180人)だった。
推定5年寛解率、esomeprazole群92%、LARS群85%で有意差は認められず
結果、推定5年寛解率は、esomeprazole群が92%(95%信頼区間:89~96%)、LARS群は85%(同:81~90%)で、試験脱落者の影響を考慮しても統計学的に両群に有意差は認められなかった(ログランク検定:p=0.048)。
5年時点のesomeprazole群とLARS群のGERD症状について比較したところ、胸焼け症状は、16% vs. 8%(p=0.14)、酸逆流症状は13% vs. 2%(p<0.001)、嚥下障害は5% vs. 11%(p<0.001)、腹部膨満は28% vs. 40%(p<0.001)、鼓腸は40% vs. 57%(p<0.001)だった。
試験期間中、死亡率は両群ともに低く(esomeprazole群4例、LARS群1例)、要治療者は認められなかった。また、重大有害事象の発生率は、esomeprazole群が24.1%に対しLARS群が28.6%と、両群で有意差はなかった。
(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)