健康な中年女性の新規心房細動発症は、死亡リスクの独立因子

提供元:ケアネット

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公開日:2011/06/07

 



致死的心血管イベントの潜在的なリスクがわずかな健康な中年女性において、新規心房細動発症は死亡リスクの独立した因子であることが報告された。米国3万人強の女性を対象とするWomen’s Health Study(WHS)のデータを基に、スイス・バーゼル大学病院のDavid Conen氏らが分析を行い報告したもので、JAMA誌2011年5月25日号で発表した。

心房細動・心血管疾患歴のない女性約3万5,000人を中央値15.4年追跡




Conen氏らは、1993~2010年(3月16日)にかけてWHSに参加し、試験開始時に心房細動歴や心血管疾患歴のない3万4,722人について調査を行った。被験者の年齢は試験開始時点で45歳以上、中央値53歳だった。

主要アウトカムは、総死亡、心血管死、非心血管死とし、副次アウトカムは、脳卒中、うっ血性心不全、心筋梗塞などだった。

追跡期間の中央値は15.4年、追跡期間中に心房細動を発症したのは1,011人(2.9%)だった。

総死亡リスク2.14倍、心血管死リスク4.18倍、非心血管死リスク1.66倍




心房細動の有無によって罹患率を比較したところ、1,000人・年当たりの総死亡率は、心房細動発症者が10.8に対し非発症者が3.1、心血管死亡率は同じく4.3に対し0.57、非心血管死亡率は6.5に対し2.5と、心房細動発症者がいずれも有意に高率だった。

多変量モデルによる分析の結果、新規心房細動発症者の非発症者に対するハザード比は、総死亡が2.14(95%信頼区間:1.64~2.77)、心血管死が4.18(同:2.69~6.51)、非心血管死が1.66(同:1.19~2.30)だった。

死因の可能性がある非致死的心血管イベントについて補正後、これらハザード比は減弱したが、心房細動発症は各死亡のリスク因子として有意なままだった。補正後ハザード比は、総死亡1.70、心血管死2.57、非心血管死1.42。

なお、発作性心房細動発症者(656人)の死亡リスクは、心血管疾患によるもののみ高く、ハザード比は2.94だった。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)