ICU患者に対し、鎮静中断による毎日の自発覚醒法+自発呼吸法が有効

提供元:ケアネット

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公開日:2008/01/24

 

ICUに収容された重症患者に対し機械的人工換気を施行する際は、ほとんどの場合大量の鎮静薬を要するが、これらの併用により多くの合併症が引き起こされるため、鎮静および機械的人工換気の低減に向けさまざまなアプローチが試行されている。Timothy D. Girard氏(アメリカ、バンダービルト大学健康サービス研究センター)らは、鎮静中断による毎日の自発覚醒法(SAT)と自発呼吸法(SBT)の併用が、鎮静とSBTによる通常ケアに比べ患者のアウトカムを改善することを明らかにした。Lancet誌2008年1月12日号掲載の報告。

毎日のSAT追加の有効性を評価




2003年10月~2006年3月の間に4つの第3次病院に336例が登録され、毎日のSAT後にSBTを施行する介入群(168例)あるいは通常ケアとして鎮静とSBTを行う対照群(168例)に無作為に割り付けられた。

対照群は、毎朝SBTの安全性が評価されたのちSBTを施行された。介入群は、毎朝SATの安全性評価ののちSATが施行され、さらにSBTの安全性評価後にSBTが実施された。各評価で不適とされた症例は翌朝に再評価が行われた。SATの成功は、鎮静薬の中断と声かけで患者が4時間以上開眼した場合とした。

無人工換気日数が有意に増加、1年死亡率は32%低下




主要評価項目である試験期間中(登録日~28日後)の機械的補助なしの呼吸日数(無人工換気日数)は、介入群(14.7日)が対照群(11.6日)に比べて多かった(p=0.02)。副次評価項目であるICU退室までの期間(介入群:9.1日 vs. 対照群12.9日、p=0.01)および退院までの期間(14.9日 vs. 19.2日、p=0.04)の中央値も介入群で優れていた。

介入群で自己抜管症例数が多かった(16例 vs. 6例、p=0.03)が、再挿管を要する症例の数は同等であり(5例 vs. 3例、p=0.47)、全体の再挿管率にも差は認めなかった(13.8% vs. 12.5%、p=0.73)。一方、1年死亡率は介入群が対照群よりも32%低く(ハザード比:0.68、p=0.01)、介入群における1例を救命するのに要する治療例数(NNT)は7.4例であった。

Girard氏は、「鎮静中断による毎日のSATにSBTを併用する覚醒-呼吸プロトコールは、現行の標準的アプローチに比べ、ICUで機械的人工換気を施行されている患者に良好なアウトカムをもたらすことが示唆される」と結論したうえで、「日常診療においてルーチン化すべき」と主張している。

(菅野守:医学ライター)