15歳未満でがんの診断を受けた小児がん生存者が、40歳超で原発性新生物を発症するリスクは、消化器と尿生殖器で特に高いことが明らかにされた。また、全体の新生物発症に関する標準比罹患比(SIR)は3.9だった。英国・バーミンガム大学健康保健科学スクールのRaoul C. Reulen氏らが、小児がん生存者約1万8,000人について行ったコホート試験「British Childhood Cancer Survivor Study」で明らかにしたもので、JAMA誌2011年6月8日号で発表した。小児がん生存者が原発性新生物を発症するリスクが高いことは知られているが長期リスクについては明らかではなかった。
中央値24年追跡、原発性新生物は1,354人に発症
Reulen氏らは、1940~1991年にかけて、英国において15歳未満でがんの診断を受けた1万7,981人について、2006年12月まで追跡した。追跡期間の中央値は24.3年(平均25.6年)だった。
その間、原発性新生物の発症が認められたのは1,354人だった。なかでも最も多かったのは中枢神経系(344人)で、次いで非黒色腫皮膚がん(278人)、消化器系(105人)、尿生殖器(100人)、乳がん(97人)、骨(94人)だった。
すべての原発性新生物の標準比罹患比(SIR)は、3.9(95%信頼区間:3.6~4.2)、絶対超過リスク(AER)は1万人・年当たり16.8だった。
40歳超の新生物発生に関する超過リスク、消化器5.9、尿生殖器6.0
なかでも、40歳超で絶対超過リスクが大きかったのは、消化器と尿生殖器における原発性新生物で、AERは1万人・年当たりそれぞれ5.9(同:2.5~9.3)と6.0(同:2.3~9.6)だった。なお原発性新生物全体の絶対超過リスクのうち、消化器と尿生殖器が36%を占めた。
また、腹部骨盤放射線照射を受けた小児がん生存者の、50歳までの大腸がんの累積発生率は1.4%(同:0.7~2.6)で、これは一親等親族の2人以上が大腸がんの診断を受けている人の1.2%と同程度だった。
(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)