静脈血栓塞栓症の抗凝固療法、至適な最短治療期間とは?

提供元:ケアネット

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公開日:2011/06/24

 



抗凝固療法終了後の静脈血栓塞栓症の再発リスクは、治療期間を3ヵ月以上に延長しても3ヵ月で終了した場合と同等であることが、フランス・リヨン市民病院のFlorent Boutitie氏らの検討で明らかとなった。再発リスクは近位深部静脈血栓症や肺塞栓症で高かった。一般に、静脈血栓塞栓症の治療には3ヵ月以上を要し、抗凝固療法終了後は再発リスクが増大するとされる。一方、抗凝固療法を3ヵ月以上継続すれば再発リスクが低減するかは不明で、再発抑制効果が得られる最短の治療期間も明らかではないという。BMJ誌2011年6月11日号(オンライン版2011年5月24日号)掲載の報告。

治療期間が異なる抗凝固療法後の再発リスクを7試験のプール解析で評価




研究グループは、静脈血栓塞栓症に対する抗凝固療法の期間や臨床像が治療終了後の再発リスクに及ぼす影響、および再発リスクを最小限にする最短の抗凝固療法の施行期間を検討するために、7つの無作為化試験の参加者の個々の患者データを用いてプール解析を行った。

対象は、担がん状態ではなく、治療期間が異なる抗凝固療法を施行された静脈血栓塞栓症初発患者2,925例。

主要評価項目は、最長で24ヵ月のフォローアップ期間中における抗凝固療法終了後の静脈血栓塞栓症の初回再発率とした。

3ヵ月で終了してよいことを示唆するデータ




再発率は、近位深部静脈血栓症よりも孤立性の遠位深部静脈血栓症で有意に低く(ハザード比:0.49、95%信頼区間:0.34~0.71)、肺塞栓症と近位深部静脈血栓症は同等(同:1.19、0.87~1.63)、既知のリスク因子のない自発性(特発性)近位深部静脈血栓症よりも特定のリスク因子に起因する血栓症で有意に低かった(同:0.55、0.41~0.74)。

抗凝固療法を1.0あるいは1.5ヵ月で終了すると、3.0ヵ月以降に終了した場合に比べ再発率が有意に高く(ハザード比:1.52、95%信頼区間:1.14~2.02)、3ヵ月で終了した場合と6ヵ月以降に終了した場合の再発率は同等であった(同:1.19、0.86~1.65)。抗凝固療法の期間と再発率に関連がみられたのは、治療終了から6ヵ月間に限られた。

著者は、「静脈血栓塞栓症に対する3ヵ月間の抗凝固療法終了後の再発リスクは、3ヵ月以上治療を継続した場合と同等であった。自発性近位深部静脈血栓症や肺塞栓症は、治療の終了時期とは無関係に再発リスクが高かった」と結論し、「再発リスクが高く治療の継続が正当化される場合を除き、抗凝固療法は3ヵ月で終了してよいと考えられる」としている。

(菅野守:医学ライター)