急性心筋梗塞患者、救急搬送時の転送12時間以上になると死亡リスク有意に上昇

提供元:ケアネット

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公開日:2011/06/28

 



急性心筋梗塞患者の救急搬送時に、最も近い救急救命室(ER)が一時的に受け入れ不可で閉鎖され転送せざるを得ない場合、転送時間が12時間以上になると、転送時間ゼロだった人に比べ死亡リスク(30日、90日、1年)が増大することが明らかにされた。米国海軍大学院ビジネス・公共政策専門学校のYu-Chu Shen氏らが、米国高齢者向け公的医療保険(メディケア)の加入者1万4,000人弱について調べ明らかにしたもので、JAMA誌2011年6月15日号で発表した。転送が、時間的に切迫した状況にある患者にとっては問題があるのではないかとされているが、これまで、転送がより悪い転帰と関連しているかどうかについてはエビデンス検証がほとんどされていなかったという。

転送なしと比べて、転送時間12時間未満の場合の死亡率は同等




研究グループは、急性心筋梗塞患者が最も近いERから何時間転送されているか、一時的閉鎖ERによる転送が死亡率上昇と関連しているかどうかを調べた。2000~2005年にかけて、カリフォルニア州4郡(ロサンゼルス、サンフランシスコ、サンマテオ、サンタクララ)・郵便番号コードで508の地点にあるERに搬送された、急性心筋梗塞の患者1万3,860人について、2006年までの死亡について追跡調査を行った。

入院が100%メディケアでカバーされており、死亡データ、転送データが記録されていた被験者について、最も近かったERは149ヵ所だった。

主要アウトカムは、ER搬送入院後、7日、30日、90日、9ヵ月、1年の死亡率で、転送時間(転送なし、<6時間、6~<12時間、≧12時間)との関連を分析した。

結果、2000~2006年の、ERまでの転送時間は1日平均7.9時間(標準偏差:6.1)だった。

追跡データの得られた1万1,625人のうち、転送時間なしは3,541人、<6時間は3,357人、6~<12時間は2,667人、≧12時間は2,060人だった。このうち、転送時間なし群と比べた、転送時間12時間未満群の死亡率は、統計的に有意差は認められなかった。

転送時間12時間以上群は30日、90日、9ヵ月、1年時点の死亡率がいずれも有意に高率




転送時間12時間以上群では、転送時間なし群に比べ、30日、90日、9ヵ月、1年時点の死亡率がいずれも有意に高率だった。

具体的には、補正前30日死亡率は、12時間以上群19% vs. 転送時間なし群15%(回帰補正後格差:3.24ポイント)、同90日死亡率は、26% vs. 22%(同:2.89ポイント)、同9ヵ月死亡率は、33% vs. 28%(同:2.93ポイント)、同1年死亡率は、35% vs. 29%(同:3.04ポイント)だった。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)