低出生体重児へのフルコナゾール予防投与で真菌定着を抑制

提供元:ケアネット

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公開日:2007/06/27

 

早産児の疾病および死亡の主原因である侵襲性カンジダ感染症を回避する手法について、イタリア・トリノの聖アンナ病院のPaolo Manzoni氏らのグループは、フルコナゾールの予防投与による効果を検証した。超低出生体重児における真菌定着と感染症予防について、多施設共同での無作為化二重盲検プラセボ対照試験を実施。その結果、フルコナゾールの予防投与が、出生時体重1500g未満の新生児で、真菌の定着と侵襲性感染症の発病率を低下させることが明らかになったという。NEJM誌6月14日号で報告された。

6mg投与群、3mg投与群とプラセボに割り付け


試験方法は、イタリアにある8つの第三次新生児集中治療施設を対象に、15ヵ月の間に出生した体重1500g未満の新生児322例を、ランダムに30日間(出生時体重1000g以下の新生児は45日間)、フルコナゾール投与群(体重kg当たり6mg投与群と3mg投与群)とプラセボ群に割り付け、菌の監視培養と系統的な感受性試験を毎週実施した。

真菌定着、感染症発生ともに有意に低く予防投与は有効


その結果、フルコナゾール投与群における真菌の定着率は、6mg投与群が9.8%、3mg投与群は7.7%で、いずれもプラセボ投与群の29.2%と比較して有意に低いことがわかった(いずれもP<0.001)。

また侵襲性真菌感染症の発生率は、6mg投与群が2.7%、3mg投与群が3.8%で、いずれもプラセボ群の13.2%と比較して有意に低かった(6mg投与群P=0.005、3mg投与群P=0.02)。

フルコナゾール投与による、真菌定着とその後の侵襲性真菌感染症の発症との関係は不明。総死亡率は各群とも同程度で、胆汁うっ滞の発生率についても同程度だった。なお、耐性カンジダ種の出現は観察されなかったが、本試験にはそのための十分な検出力はなかったと述べている。

これら結果から、フルコナゾールの予防投与は、真菌定着と侵襲性カンジダ感染症の発病率を低下させる効果のあることが確認できたと報告された。ただしカンジダ保菌に対する治療効果は不明であると最後に付け加えている。

(武藤まき:医療ライター)