ハイリスク中高年男性への肥満手術、死亡リスク減少せず

提供元:ケアネット

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公開日:2011/07/12

 



ハイリスク中高年男性に対して肥満手術を行っても、死亡リスクは減少しないことが明らかにされた。米国・ダラム退役軍人病院のMatthew L. Maciejewski氏らが、退役軍人向け病院のデータベースを用い、肥満手術を受けた850人とそのコントロール群について調べ明らかにしたもので、JAMA誌2011年6月15日号で発表した。これまで、主に若い女性を対象とした、肥満手術と死亡リスクに関するコホート試験はあるが、より高齢の男性に関する研究はほとんど知られていない。

手術群850人とコントール群4万人超について、約7年追跡




研究グループは、退役軍人病院で2000年1月~2006年12月にかけて肥満手術を受けた男性850人と、非手術群4万1,244人について、後ろ向きコホート試験を行った。手術群の平均年齢は49.5(標準偏差:8.3)歳、BMIは平均47.4(同:7.8)だった。コントロール群の平均年齢は54.7(同:10.2)歳、BMIは平均42.0(同:5.0)だった。

追跡期間の平均は6.7年。主要アウトカムは、2008年までの総死亡率だった。

傾向スコアによるマッチング後、手術群で死亡率の低下みられず




その結果、手術群の総死亡率は、1年が1.5%、2年が2.2%、6年が6.8%に対し、非手術群の死亡率はそれぞれ、2.2%、4.6%、15.2%だった。

補正前Cox回帰分析の結果、肥満手術は死亡率の減少につながった(ハザード比:0.64、95%信頼区間:0.51~0.80)。共変量調整を行った後も、肥満手術による死亡率の減少が認められた(ハザード比:0.80、同:0.63~0.995)。

ところが、傾向スコアによるマッチングを行い、手術群847人とコントロール群847人について比較したところ、肥満手術群のコントロール群に対する死亡に関する補正前ハザード比は0.83(同:0.61~1.14)、時間補正後のハザード比は0.94(同:0.64~1.39)と、いずれも有意差は認められなかった。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)