下肢末梢動脈疾患の診断には、MR血管造影(MRA)がCT血管造影(CTA)や超音波ドプラ法よりも適している可能性が示唆された。University of YorkのRos Collins氏らが体系的レビューとしてBMJ誌6月16日号で報告した
107研究を対象にレビュー
Collins氏らは11の文献データベース(1996~2005年)、血管病画像診断を扱う主たる6雑誌、非公表データを含む文献リストから、下肢末梢動脈疾患の診断にMRA、CTAあるいは超音波ドプラ法を用いた研究を抽出した。末梢動脈疾患はすべて症候性とし、有害事象報告以外の論文では、20例以上を対象とした論文に限った。また、診断の正確性を比較した研究では、感度と特異度を算出できる論文だけを対象とした。その結果、107研究が本レビューの対象となった。
感度、特異度ともMRAが最も高い
まず、診断の正確性を検討した58試験において、「全下肢における50%以上の血管狭窄の検出」を比較すると、MRAは感度(中央値:95%、範囲:92~99.5%)、特異度(中央値:97%、範囲:64~99%)とも最も高かった。CTAは感度91%(中央値、範囲:89~99%)、特異度91%(中央値、範囲:83~97%)、ドプラ法は特異度こそ96%(中央値:範囲:89~99%)と高かったものの感度が88%(中央値、範囲:80~98%)と優れなかった。
一方、完全閉塞ではCTAの感度と特異度が最も高く(97%、99.6%)、次いでMRA(94%、99.2%)、ドプラ法(90%、99%、いずれも中央値)となった。
一方、有害事象が最も多く報告されていたのはMRAだったが、重篤なものはなかった。またMRA、CTA、ドプラ法のいずれも、従来の血管造影より好ましいと患者は考えていた。
(宇津貴史:医学レポーター)