早期の限局性前立腺がんに対する、放射線療法+4ヵ月の短期アンドロゲン遮断療法(ADT)の併用療法について、有意な死亡率(死因別)の低下および全生存率の上昇が認められたことが明らかにされた。米国・Radiological Associates of SacramentoのChristopher U. Jones氏らが、米国とカナダの212施設から被験者約2,000例を募り行った無作為化試験の結果による。これまで同併用療法の効果については明らかにされていなかった。NEJM誌2011年7月14日号掲載報告より。
1,979例を、放射線療法単独群と4ヵ月ADT併用群に無作為化
被験者は、1994年10月~2001年4月の間に212施設から集められた、ステージT1b、T1c、T2a、T2bでPSA値20ng/mL以下の前立腺がん患者1,979例であった。被験者は無作為に、放射線療法単独群(992例)と、放射線療法2ヵ月間実施後に4ヵ月間の短期ADTを行う群(987例)に割り付けられ、中央値9.1年間追跡された。
主要エンドポイントは全生存率とし、副次エンドポイントには死因別死亡率、遠隔転移、生化学的治療の失敗(PSA値が上昇)、2年時点の再生検の陽性所見率などが含まれた。
ベネフィットは低リスク群では有意ではなく、主として中間リスク群に
結果、10年全生存率は、放射線療法単独群57%に対し、併用群は62%であった(単独群の死亡ハザード比:1.17、P=0.03)。死因別死亡率は、単独群8%に対し、併用群は4%であった(単独群のハザード比:1.87、P=0.001)。
また併用群では、生化学的失敗(P<0.001)、遠隔転移(P=0.04)、2年時点の再生検陽性所見率(P<0.001)について有意な改善が認められた。
放射線照射による毒性は、急性(照射開始後90日まで)、遅発性とも、両群で同程度であった。またグレード3以上の毒性発現率は5%未満であった。
なお、低リスク(単独群:334例、併用群:351例)、中間リスク(同:544例、524例)、高リスク(同:114例、112例)別にみた事後解析の結果、全生存率の上昇と死因別死亡の低下は、主に中間リスク群で認められ(P=0.03、P<0.01)、低リスク群では有意ではなかった(P=0.60、P=0.42)。
(武藤まき:医療ライター)