エタネルセプトは小児・思春期の尋常性乾癬にも有効

提供元:ケアネット

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公開日:2008/01/30

 

わが国では関節リウマチ薬として販売されているエタネルセプトは、成人の尋常性乾癬の重症度を軽減することが示され、欧米では承認されている。本論は、小児・思春期の中等度~重度の尋常性乾癬に対する有効性と安全性について評価した、Etanercept Pediatric Psoriasis Study Groupによるフェーズ3の治験報告。NEJM誌2008年1月17日号に掲載された。

4~17歳の乾癬患者211例を48週調査




対象は4~17歳の乾癬患者211例。まず二重盲検下で無作為に、プラセボを投与する群と、体重1kg当たりエタネルセプト0.8mg(最高50mg)を投与する群に割り付け、12週にわたり週1回の皮下注射が行われた。続く24週は、非盲検でエタネルセプトを週1回投与。36週目に患者138例を再度無作為にプラセボ群とエタネルセプト群に割り付け、投薬中断と再投与が行われ、計48週にわたる効果が検討された。

主要評価項目は、12週時点で乾癬部位の面積と重症度を示す指数PASIが、基線から75%以上改善(PASI 75)していることとし、副次評価項目はPASI 50、PASI 90、医師の総合評価による疾患消失またはほぼ消失、安全性評価とした。

有害事象3例4件もすべて後遺症なく回復




12週時点でPASI 75を達成したのは、エタネルセプト群が57%だったのに対し、プラセボ群は11%だった(P<0.001)。また同じ期間に副次評価項目を達成した患者の割合を比較すると、疾患消失かほぼ消失と医師が総合評価(53%対13%)、PASI 50(75%対23%)、PASI 90(27%対7%)ともエタネルセプト群のほうがプラセボ群より有意に高かった(P<0.001)。

36週時点でPASI 75を達成した割合は、最初からエタネルセプト投与を受け続けた群で68%、当初12週プラセボ+続く24週投与群で65%だった。また36週以後プラセボに割り当てられ投薬中断した患者69例の48週時点の調査で、29例(42%)の薬効が失われていたことも報告されている。

なお非盲検でエタネルセプトを投与していた間に、患者3例で4件の深刻な有害事象(3件の感染症を含む)が起きたが、すべて後遺症なく回復した。

これら結果を踏まえ研究グループは「エタネルセプトは、小児・思春期の中等度から重度の尋常性乾癬でも、有意に重症度を軽減する」と結論付けている。