超低出生体重児の14歳時の慢性疾患罹患率は、正常出生体重児群と比べて2.8倍にのぼることが明らかにされた。一方で喘息や肥満については、両群に有意な差は認められなかったという。米国・クリーブランドにあるケース・ウェスタン・リザーブ大学のMaureen Hack氏らが、出生時体重1kg未満の超低出生体重児と正常出生体重児の8~14歳の慢性疾患罹患率の変化について行ったコホート試験の結果、明らかにしたもので、JAMA誌2011年7月27日号で発表した。なお超低出生体重児の、8~14歳の慢性疾患および喘息の罹患率の変化は認められなかったが、肥満の罹患率は増大していたことも報告されている。
超低出生体重児の慢性疾患罹患率、8歳から14歳で増加なし
同研究グループは、2004~2009年にかけて、超低出生体重児(<1kg)181児と正常体重児115児について追跡試験を行った。被検児は全員、オハイオ州クリーブランドでの1992~1995年生まれだった。
主要アウトカムは、8~14歳における、小児慢性疾患特定のための改定版質問票(revised Questionnaire for Identifying Children With Chronic Conditions)に基づく慢性疾患罹患率、および喘息、肥満のそれぞれ罹患率だった。
結果、超低出生体重児の慢性疾患罹患率は、8歳時75%、14歳時74%と、有意な変化は認められなかった。正常出生体重児も、8歳時37%、14歳時47%で、その変化に有意差は認められなかった。
14歳時で喘息と肥満の罹患率については有意差なし
社会人口統計学的要因や性別、人種について補正後、14歳時における慢性疾患罹患率は、正常出生体重児が47%に対し、超低出生体重児が74%と、補正後オッズ比は2.8(95%信頼区間:1.7~4.6)だった。
投薬を必要とする喘息の罹患率は、超低出生体重児では8歳時、14歳時ともに23%と変わらなかったが、正常出生体重児ではそれぞれ8%と17%と、有意な増加がみられた(p=0.002)。その結果、14歳時においては投薬を必要とする喘息罹患率について、両群で有意差はなくなっていた(補正後オッズ比:1.5、95%信頼区間:0.8~2.8)。
超低出生体重児のBMI平均Zスコア値は、8歳時0.06が14歳時0.38へ(p<0.001)、また肥満率は12%から19%へとそれぞれ増加した(p=0.02)。一方で、正常出生体重児では同期間にいずれの割合も増加しなかった。そのため14歳時点で、超低出生体重児と正常出生体重児では、BMI平均Zスコア値、肥満率とも有意差がなくなっていた。
(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)