効果を競い合うヘルスケア介入の比較検討をめぐって、直接的な比較と間接的な比較の結果の一致状況について、英国・イースト・アングリア大学ノーウィッチメディカルスクールのFujian Song氏らが調査した。結果、同氏らが以前に行った調査で認められた以上に、有意な不一致が広く認められる可能性があることが明らかになったという。介入比較の無作為化試験実施は不十分で、今後もその状況は好転しそうになく、また直接的な比較の代替として間接的な比較試験が増えている。そうした状況を踏まえてSong氏らは本調査を行った。BMJ誌オンライン版2011年8月16日号より。
直接比較と間接比較のlogオッズ比の違いの不一致を検証
調査は、無作為化試験のメタ解析抽出サンプルに基づくメタ疫学的研究にて行われた。Cochrane Database of Systematic Reviews、PubMedをデータソースとし、共通の比較ツールをベースとして、介入の直接的な比較と独立間接的な比較の十分なデータが提供されており、またオッズ比がアウトカム統計として使われていたシステマティックレビューもしくはメタ解析の無作為化試験を適格とした。
主要評価項目は、直接比較と間接比較のlogオッズ比の違いにみられた結果の不一致とした。
検証した112件のうち14%で不一致が認められる
検討には、112件の独立した試験ネットワーク(1,552試験、被験者計47万8,775例)が含まれた。Cochraneレビューからは85試験ネットワークが含まれた。
112件のうち39件(35%)は直接比較で統計的に有意な結果が示されたものだった。しかし間接比較でも同様の結果を支持していたのは13件のみだった。また、まったく反対の統計的に有意な結果を示していた間接比較も1件あった。
直接比較と間接比較の不一致が統計的に有意(P<0.05)であったのは16件で(14%、95%信頼区間:9~22)、Cochraneレビューからのものだった。
統計的に有意な不一致は、無作為化試験が少ない(P=0.006)、アウトカムを主観的に評価している(P=0.029)、直接比較、間接比較の両比較とも統計的に有意な治療効果が小さい(P<0.001)こととの関連が認められた。
また不一致が大きいために、直接比較では統計的に有意な効果が示されていたものの多くが、直接的および間接的評価を結合した場合は有意ではなくなっていた(14/39)。
これらを踏まえ著者は、「以前に行った調査で観察された以上に、有意な不一致が広く認められるようだ」と述べ、「直接比較と間接比較の評価は、十分なエビデンスのコンセンサスの評価をした後に、混在した治療比較に組み込むべきである」と結論している。