米国では小児肥満が「蔓延」している状況にあり、2型糖尿病を含む共存症の原因となっている。肥満児の大半は肥満したまま成人になるため、若年で重篤な代謝性疾患を来すことも懸念される。この重大な健康問題に対処するため効果的な小児科学的介入が欠かせなくなっている。
エール大学医学部臨床研究センターのMary Savoye氏らは、肥満児に対する体重管理プログラムの介入を集中的に行った結果、体重、BMI、体脂肪、HOMA-IRなどで改善効果が得られたとする発表を行った。JAMA誌6月27日号からの報告。
体重管理プログラムと臨床的カウンセリングを無作為割り付け
Mary Savoye氏らは、体重管理プログラム(Bright Bodies)介入が肥満児の体脂肪蓄積と代謝性疾患に及ぼす影響を、対照群と比較しながら無作為化臨床試験を行った。参加者の募集と追跡調査はコネチカット州ニューヘーヴン市にあるエール小児肥満クリニックが担当、運動プログラムには日本製のダンスゲームが使われた。
対象は、8歳から16歳までの様々な人種から、年齢・性別でBMI値が 95パーセンタイル値以上の者が選ばれ、体重管理群と対照群に割り付けられた。
トータルで135例(60%)が6ヵ月間、119例(53%)が12ヵ月間の介入・追跡調査を受けた。
介入は、体重管理群(n=105)は運動、栄養改善と行動変容を目的とした家族ぐるみの集中的なプログラムを、対照群(n=69)は従来型の臨床的体重管理カウンセリングを受けた。最初の6ヵ月は隔週で、その後は隔月に実施された。
12ヵ月継続で体成分、インスリン抵抗性など改善の有効性を確認
体重管理群と対照群の体重、BMI、体脂肪、HOMA-IRの変化を12ヵ月時点で測定した結果は次の通りで(平均値、[95%信頼区間])、Savoye氏らは、「Bright Bodies体重管理プログラムを12ヵ月継続した肥満児で、体成分やインスリン抵抗性の改善効果が得られた」と報告した。
・体重(+0.3kg[-1.4~2.0]対+7.7kg[5.3~10.0])
・BMI(-1.7[-2.3~-1.1]対+1.6[0.8~2.3])
・体脂肪(-3.7kg[5.4~-2.1]対+5.5kg[3.2~7.8])
・HOMA-IR(-1.52[-1.93~-1.01]対+0.90[-0.07~2.05])
(朝田哲明:医療ライター)