全英病院データから大腸手術の再手術率とリスク因子を導出

提供元:ケアネット

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公開日:2011/09/09

 



英国Imperial College St Mary's Hospital外科のElaine M Burns氏らは、英国病院データのHospital Episode Statistics(HES)を後ろ向きに解析し、大腸手術の再手術の特徴を調べ、質的インジケーターとしての使用の可能性を検討した。結果、病院や施術担当医間で術後の変化が大きいことが明らかになり、質的インジケーターとしての可能性は、データ精度が保証できれば、死亡率など他のインジケーターとともに使うことは可能であると報告した。BMJ誌2011年8月20日号(オンライン版2011年8月16日号)掲載報告より。

再手術率は6.5%、一方で病院や執刀医間で格差大きく




Burns氏らは、HESデータと、全英NHSの管理データを用いて評価を行った。そのうち、2000~2008年に英国でプライマリな大腸摘出術を受けた患者を対象とした。

主要評価項目は、大腸摘出後の再手術とされた。再手術の定義は、摘出日から28日以内に腹腔内処置または創傷合併症のために再手術を受けたか、入院となった場合とされた。

結果、再手術率は6.5%(1万5,986/24万6,469例)であった。病院および外科医の間での変動が大きく、手術件数が多い病院と外科医のチーム間においても、再手術率に3倍から5倍の格差が認められた。

NHSを対象とした研究では、14.1%(22/156例)に再手術が認められた。上位管理限界値は99.8%であった。

再手術リスクの高い独立因子とは




再手術リスクの高い独立因子として認められたのは、炎症性腸疾患(IBD)の診断(オッズ比:1.33、95%信頼区間1.24~1.42、p<0.001)、複数疾患の同時罹患(同:1.34、1.29~1.39、p<0.001)、社会・経済的弱者(最貧困層の同1.14、1.08~1.20、p<0.001)、男性(同:1.33、1.29~1.38、p<0.001)、直腸を切除(同:1.63、1.56~1.71、p<0.001)、腹腔鏡下手術(同:1.11、1.03~1.20、p=0.006)、緊急入院(同:1.21、1.17~1.26、p<0.001)であった。