超早産児においては極めて高率で脳性麻痺(CP)が見られることは報告されてきたが、公表されているCP有病率は、出生年代が異なるさまざまな臨床現場からの報告で、その点での比較に限界が指摘されていた。カナダ・アルバータ大学のCharlene M. T. Robertson氏らは、30年間にわたる超早産児のCP有病率の変化を、域内人口動態および在胎月齢に着目して評価を試みた。JAMA誌6月27日号に掲載。
域内人口動態に基づく前向き縦断アウトカム研究を実施
カナダ・アルバータ州北部では、1974年から2003年までの30年間に、在胎齢20~27週で出生時体重500~1249gの超早産児2,318例の生産があった。そのうち1,437例(62%)は2歳までに死亡、23例(1%)は追跡不能、858例(37%)が神経発達面での集学的評価を受けている。そこで、域内人口動態をベースとしたCP有病率を主要評価項目とし、CP有病率の経年変化の評価を、スプライン平滑化ロジスティック回帰分析で行った。
生存率上昇とCP有病率の関連性に疑問を提示
生存2歳児858例のうち122例(14.2%)がCPで、診断は3歳あるいはそれ以上の年齢になってから確定されていた。
在胎月齢20~25週グループでは、2年生存率は4%から31%まで向上した(P<0.001)が、生産1000対CP有病率は1974-1976年から1992-1994年にかけては0から110まで単調に増加し(P<0.001)、その後2001-2003年に22に減少(P<0.001)していた。
一方、在胎月齢26~27週グループの2年生存率は23%から75-80%の間で増加し(P<0.001)、CP有病率も1992-1994年まで15~155まで単調に増加(P<0.001)、その後2001-2003年には16に減少した(P<0.001)。2001-2003年に生まれた全生存例のCP有病率は生産1000対19であった。
直近の10年間における在胎月齢20~27週、出生時体重500~1249gの超早産児におけるCP有病率は、確実な減少傾向を示しており、また死亡率も1992-1994年をピークに安定もしくは減少に転じていた。
これらからRobertson氏らは、低体重児の生存率上昇とCP有病率を結びつけた従来の報告には限界があり、NICUにおける積極的な治療の功罪を踏まえた新生児学の進展など重要なファクターを見落としている可能性があると注意を促している。
(朝田哲明:医療ライター)