前立腺癌への放射線+ホルモン治療のリスクを調査

提供元:ケアネット

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公開日:2008/02/05

 

進行性前立腺癌に対しては、放射線治療(RT)+ホルモン治療(アンドロゲン抑制治療:AST)がスタンダードになっている。しかし一方で、大規模患者コホート試験によって、ASTによる心血管イベント増大の可能性が示されている。そこでブリガム&ウーマンズ病院/ダナ・ファーバー研究所(アメリカ、マサチューセッツ州ボストン)癌放射線部門のAnthony V. D’Amico氏らは、RT単独治療とRT+AST(6ヵ月)治療とで、心血管イベントと全死亡率との関連性を調査した。JAMA誌2008年1月23日号に掲載。

206例をRT単独治療群とRT+AST治療群に無作為化し追跡




試験は、1995年12月1日~2001年4月15日の間に、マサチューセッツにある医療機関(アカデミック病院および地域病院)で局在予後不良リスクの高い前立腺癌と診断され治療を受けた男性206例を対象に行われた。対象は、無作為にRT単独またはRT+ASTを受ける群に割り付けられた。

解析は、治療群ごとに階層化された推定全死亡率、さらにAdult Comorbidity Evaluationを用い事前解析され階層化された27の共存症のスコアをログランク検定を用いて比較する方法で行われた。

主要評価項目は、死亡に至るまでの時間(全死亡要因について調査)。

RT単独群で死亡多いが…




2007年1月15日現在の追跡調査期間は中央値7.6年(範囲:0.5年~11.0年)で、74例が死亡していた。

RT単独群とRT+AST群とを比較すると、RT単独群の死亡者のほうが有意に多かった(44対33、ハザード比1.8;95%信頼区間1.1~2.9、P=0.01)。

しかし死亡の内訳をよく見ると、共存症なしあるいは軽症共存症による死亡が多かった(31対11、ハザード比4.2;95%信頼区間2.1~8.5、P=0.001)。

中等度または重度共存症を有した患者間の比較では、両群の差異は認められなかった(13対19、ハザード比0.54;95%信頼区間0.27~1.10、P=0.08)。

研究者らは「結果としてAST追加治療は全生存率の引き上げに寄与していたが、中等度以上の共存症を伴わない場合に限った結果のようである」と結論づけている。

(武藤まき:医療ライター)