9.11後9年、救助・復旧作業従事者の健康問題が浮き彫りに

2001年9月11日のニューヨーク市、世界貿易センター(WTC)での同時多発テロによる襲撃後9年の間、現場で救助・復旧作業に従事した人々には身体的、精神的な障害という重い負担が継続的に課せられている実態が、マウントサイナイ医科大学(同市)のJuan P Wisnivesky氏らの調査で明らかとなった。WTC襲撃後に現場で救助や復旧に当たった人員は5万人以上に上る。被災後早期から、これらの作業従事者にはさまざまな健康問題の発生が報告されているという。Lancet誌2011年9月3日号掲載の報告。
救助・復旧作業員の健康障害を評価するコホート試験
研究グループは、WTCの被災後9年間における救助・復旧作業員の身体的、精神的な健康障害の発生率および罹病率を調査して、その職業的な曝露との関連を評価し、さらに身体的障害と精神的障害の併存状況を定量的に検討することを目的に、大規模な縦断的コホート試験を行った。
WTC Screening, Monitoring, and Treatment Programに参加した2万7,449人の救助・復旧作業員(警察官、消防士、建設作業員、市職員など)のデータを収集した。
Kaplan-Meier法を用いて、身体的障害(喘息、副鼻腔炎、胃-食道逆流症)、精神的障害(うつ状態、心的外傷後ストレス障害[PTSD]、パニック障害)、スパイロメトリー上の肺機能障害について評価した。曝露の程度別(WTCの現場での作業日数や粉塵への曝露状況)の障害の発生率についても検討を行った。
継続的なモニタリングや治療が必要
9年間の身体的障害の累積発生率は、喘息が27.6%(7,027人)、副鼻腔炎が42.3%(5,870人)、胃・食道逆流症は39.3%(5,650人)であった。
警察官の7.0%(3,648人)にうつ状態を認め、PTSDは9.3%(3,761人)、パニック障害は8.4%(3,780人)にみられた。警察官以外では、うつ状態が27.5%(4,200人)、PTSDが31.9%(4,342人)、パニック障害は21.2%(4,953人)に認められた。
9年間で41.8%(5,769人)にスパイロメトリー上の肺機能異常が確認され、その4分の3は努力性肺活量の低下であった。
障害の多くは、WTCでの曝露時間が最も長い作業員で発生率が最も高かった。複数の身体的障害や複数の精神的障害が併存する者、また身体的障害と精神的障害を併発する者が多いことも示された。
著者は、「2001年9月11日のWTC襲撃後9年の間、救助・復旧作業従事者には身体的、精神的な健康問題という重い負担が課せられていることがわかった。今回の知見により、これらの人々には継続的なモニタリングや治療が必要なことが浮き彫りとなった」と結論している。
(菅野守:医学ライター)
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