黒人女性によくみられる腹部肥満と死亡リスク

提供元:ケアネット

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公開日:2011/09/21

 



米国・ボストン大学Slone疫学センターのDeborah A. Boggs氏らはBMI値と腹囲、死亡リスクとの関連について、これまで入手データが限られていた黒人女性5万人超を対象とする大規模な前向き調査を行った。結果、白人でみられる傾向と同じように、BMI 25.0以上で、死亡リスクが数値増大とともに上昇することが認められたという。また、黒人女性では腹囲肥満がよくみられ、非肥満(BMI 30.0未満)でのみ腹囲が死亡リスク上昇と関連している特性も明らかになった。NEJM誌2011年9月8日号掲載報告より。

BMI、腹囲と死亡リスクの関係を前向き評価




本研究の対象となった黒人女性以外のBMIと死亡リスクとの関連については、最近のプール解析の結果で、ヨーロッパ系集団ではBMI 25.0以上で死亡リスクが上昇すること、東アジア人ではBMI増加と死亡リスク上昇との関連はより弱く、また南アジア人ではBMI増加と死亡リスク上昇には関連が認められないことが示されている。一方、黒人については、BMI 35.0以上で死亡リスクが上昇するという非常に高値での関連が示唆されているにすぎなかった。

Boggs氏らは、研究登録時に21~69歳で、がんまたは心血管疾患の既往歴がない5万1,695人の黒人女性について、BMIおよび腹囲と死亡リスクの関係を前向きに評価した。解析は「黒人女性の健康研究」(Black Women's Health Study)の1995年から2008年までの追跡調査データに基づいて行われ、多変量比例ハザードモデルにてハザード比と95%信頼区間を推定し評価された。

BMI 25.0以上で腹囲と死亡リスク上昇と関連




追跡調査期間中、確認された1,773例の死亡のうち770例は喫煙歴のない3万3,916人の集団においての発生だった。この非喫煙者での死亡リスクは、BMI 20.0~24.9で最も低く、それより上のBMIの人では、その値が増加するほど死亡リスクは上昇した。

BMI基準カテゴリーを「22.5~24.9」とした場合の、多変量補正後ハザード比は、「25.0~27.4」で1.12(95%信頼区間:0.87~1.44)、「27.5~29.9」で1.31(同:1.01~1.72)、「30.0~34.9」で1.27(同:0.99~1.64)、「35.0~39.9」で1.51(同:1.13~2.02)、「40.0~49.9」で2.19(同:1.62~2.95)であった(傾向のP<0.001)。

また、BMI 30.0未満の女性では、腹囲の増大が、全死因死亡リスクの上昇と相関していた。

(朝田哲明:医療ライター)