新生児敗血症に対する免疫グロブリン静注療法は、転帰に対する効果がないことが明らかにされた。国際新生児免疫療法試験(INIS)共同研究グループは、9ヵ国113施設で約3,500例の被験児を対象に行った結果による。新生児の主要な死因であり合併症をもたらす敗血症は、抗菌薬治療に加えた有効な治療が必要とされる。そうした患児に対して免疫グロブリン静注療法は全死因死亡を減らすことがメタ解析の結果、示されていた。しかし解析対象であった試験は小規模で、試験の質もバラバラであったことから、INIS共同研究グループが、国際化多施設共同二重盲検無作為化試験を行った。NEJM誌2011年9月29日号掲載報告より。
9ヵ国113施設3,493例を対象に二重盲検無作為化試験
試験は、2001年10月~2007年9月に、イギリス、オーストラリア、アルゼンチンなど9ヵ国113施設から、重度感染症が疑われるか、または認められ抗菌薬治療を受けていた新生児合計3,493例が登録され行われた。
被験児は無作為に、多価IgG免疫グロブリン静注投与(投与量500mg/kg体重)群(1,759例)か、プラセボ群(1,734例)に割り付けられ追跡された。投与は2回ずつ行われ、1回目と2回目の間隔は48時間だった。
主要アウトカムは、2歳時点の死亡または重度障害とした。
2歳時点の死亡または重度障害、両群に有意差認められず
結果、主要アウトカムの発生率について、両群に有意な差は認められなかった。
免疫グロブリン静注群は39.0%(686/1,759例)、プラセボ群は39.0%(677/1,734例)で、相対リスク1.00(95%信頼区間:0.92~1.08)だった。
その後の敗血症エピソードの発生率など、副次アウトカムの発生率についても同様に有意差は認められなかった。
2歳児フォローアップにおいても、重度・非重度障害または有害事象の発生率に有意差は認められなかった。
(武藤まき:医療ライター)