米国小児病院において用いられている小児喘息治療指標「Children’s Asthma Care 」(CAC)は、米国病院認定合同委員会(JCAHO)が入院中の小児に対する医療の質を評価する唯一の指標となっている。フェニックス小児病院のRustin B. Morse氏らは、CAC遵守率とアウトカムとの関連について評価を行った。CACは大きく入院中の指標(CAC-1、CAC-2)と退院後家庭で用いる指標(CAC-3)に分けられる。結果、CAC-1、CAC-2の遵守率は高率だが、CAC-3は中程度であることが明らかになった。しかしCAC-3と、退院後の救急室利用率や再入院率等に有意な関連は認められなかったという。JAMA誌2011年10月5日号掲載より。
退院後ケアプラン作成の遵守率、当初41%から73%に改善
研究グループは、2008年1月1日~2010年9月30日にかけて、米国内30ヵ所の小児病院を対象に、喘息で入院した3万7,267人を対象に試験を行った。
追跡期間は、2010年12月末までで、その間の入院件数は4万5,499件だった。病院ごとのCAC遵守率と、退院後の救急室利用、喘息による再入院について、調査した。
結果、入院中の発作治療薬の処方指標(CAC-1)と全身性コルチコステロイドの処方指標(CAC-2)に関する四半期ごとにみた病院ごとの遵守率最低値は、それぞれ97.1%と89.5%と、いずれも高率だった。
退院後の家庭におけるケアプラン作成のための指標(CAC-3)の遵守率は、試験期間中の最初の3回の四半期平均40.6%、最後の3回の四半期の平均値は72.9%で、増加傾向が認められた。
ケアプラン作成の遵守率と退院後救急室利用率、再入院率に関連なし
退院7日、30日、90日後の救急室利用率平均値は、それぞれ1.5%、4.3%、11.1%だった。四半期ごとの退院7日、30日、90日後の再入院率平均値は、それぞれ1.4%、3.1%、7.6%だった。
CAC-3遵守率と退院後の救急室利用率には、有意な関連は認められなかった(遵守率5%増加ごとのオッズ比、7日:1.00;95%信頼区間:0.98~1.02、30日:0.97;同:0.90~1.04、90日:0.96;同:0.77~1.18)。
またCAC-3遵守率と再入院率にも、有意な関連は認められなかった(遵守率5%増加ごとのオッズ比、7日:1.00;95%信頼区間:0.99~1.02、30日:0.99;同:0.96~1.02、90日:1.01;同:0.90~1.12)。
(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)