病変が中枢神経系に及んだ新生児単純ヘルペスウイルス(HSV)感染症に対して、経口アシクロビル(商品名:ゾビラックスほか)の6ヵ月間にわたる抑制療法が、神経発達アウトカムを改善することが報告された。新生児単純HSV感染症の生存例では、神経発達のアウトカム不良や皮膚病変の再発が、容認できないほど高頻度にみられることから、米国・アラバマ大学小児学部門のDavid W. Kimberlin氏らが、経口アシクロビルによる抑制療法のアウトカムへの効果を検討した。NEJM誌2011年10月6日号掲載報告より。
中枢神経系型と表在型それぞれに同一治療を行い有効性と長期安全性を評価
試験は、治療は同一ながら対象を異にした2つの二重盲検プラセボ対照試験を並行して行う方法で検討された。HSV感染症が中枢神経系に及んだ新生児は第1試験に、皮膚・目・口腔のみの表在型発症の新生児は第2試験にそれぞれ登録された。
治療は、まず非経口アシクロビルを中枢神経系型群は21日間、表在型群は14日間それぞれ投与完了後、ただちに、経口アシクロビル抑制療法(300mg/m2体表面積の経口投与を1日3回×6ヵ月間)を開始する群とプラセボを投与する群に無作為に割り付けられ、有効性と長期使用の安全性について評価が行われた。なお皮膚病変再発時には、オープンラベルで治療が行われた。
中枢神経系群では、アシクロビル抑制療法群はプラセボ群より有意にスコア上昇
登録された新生児は、中枢神経系型群45例、表在型群29例の合計74例だった。
中枢神経系型群45例中28例(62%)について、生後12ヵ月時点での新生児発達スコアのベイリー・スケール神経発達指数(スコア範囲:50~150、平均値100、それ以上のスコアは良好な神経発達アウトカムを示す)を評価した。
共変量補正後の同指数は、アシクロビル抑制療法を受けるよう無作為に割り付けられた群は88.24で、プラセボに割り付けられた群68.12よりも有意にスコアが高かった(P=0.046)。
なお全体的に、アシクロビル群のほうが、プラセボ群よりも好中球減少症を呈する傾向が認められた(P=0.09)。
(武藤まき:医療ライター)