症候性アテローム動脈硬化性内頸動脈閉塞(AICAO)で同側性脳虚血の認められる人に対し、抗血栓療法に加えて頭蓋外-頭蓋内(EC-IC)バイパス術を行っても、2年長期の再発性同側性虚血性脳卒中のリスク減少にはつながらないことが示された。米国・ノースカロライナ大学のWilliam J. Powers氏らが、約200人を対象に行った無作為化非盲検試験の結果で、JAMA誌2011年11月9日号で発表した。
AICAOで同側性脳虚血の195人を、2年間追跡
研究グループは、2002~2010年にかけて、米国とカナダの計49ヵ所の医療センターまたは計18ヵ所のPETセンターにて試験を行った。大半は大学病院の付属施設だった。
被験者は195人で、動脈造影によってAICAOが確認され、120日以内に頭部片側症状があり、PETによる同側性脳酸素摂取率増加から血行動態的脳虚血が認められた。
研究グループは被験者を無作為に2群に分け、一方の群(97人)にはEC-ICバイパス術を実施し(手術群)、もう一方の群(98人)は同術を実施しなかった(非手術群)。被験者は全員、抗血栓療法とリスク因子への介入が行われた。
主要エンドポイントは、手術群が(1)術後30日間の全脳卒中または死亡、(2)無作為化後2年以内の同側性虚血性脳卒中だった。非手術群または手術群にいながら手術を受けなかった人は、(1)無作為化後30日間の全脳卒中または死亡、(2)無作為化後2年以内の同側性虚血性脳卒中だった。
手術群で主要エンドポイント発生率に有意差なく、試験は早期終了
結果、本試験は手術による有益性が認められなかったため、早期に中止となった。
試験開始2年後までの主要エンドポイント発生率は、手術群21.0%(95%信頼区間:12.8~29.2、20件)に対し、非手術群22.7%(同:13.9~31.6、20件)で、両群発生率に格差は認められなかった(発生率格差:1.7ポイント、95%信頼区間:-10.4~13.8、p=0.78)。
なお、30日後同側性虚血性脳卒中の発生率は、手術群が14.4%に対し非手術群は2.0%と、発生率格差は12.4ポイント(同:4.9~19.9)に上った。
(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)