プライマリ・ケアでの減量指導について、遠隔支援のみ(電話とWeb、e-mailで支援)介入群と、それらに対面支援(集団または個人セッションで支援)を加えた介入群とを比較した結果、両群間の基線から24ヵ月時点の体重減少は有意差を示さなかったことが報告された。肥満およびそれへの心血管疾患の合併は極めて一般的な医学的問題であるが、臨床での効果的な減量指導方法に関するエビデンスは乏しい。そこで米国・ジョンズ・ホプキンス大学Welch予防疫学臨床研究センターのLawrence J. Appel氏らが、6診療所・415例を被験者とした無作為化対照試験で方法論について検証を行った。米国では肥満関連の直接・間接コストが年間1,100億ドルに上るという。NEJM誌2011年11月24日号掲載報告より。
415例を遠隔支援介入群、+対面支援介入群、自発的取り組み群の3群に無作為化し比較
試験は、2008年2月~2009年2月にかけて、ボルチモア市内6診療所から募った415例を対象に行われた。被験者は21歳以上の肥満者(平均BMI 36.6、平均体重103.8kg)で、心血管リスク因子を1つ以上有していた。女性が63.6%を占め、41.0%が黒人、平均年齢は54.0歳だった。
対象者は無作為に次の3群(2つの介入群と対照群)に割り付けられた。(1)電話とWeb、e-mailによる減量支援(民間会社のHealthways社員による)による介入を受けた群と、(2)(1)の3つの遠隔支援に加えて集団または個人セッションによる対面支援(訓練を受けた大学職員による)の介入を受けた群、(3)自発的取り組み群(対照群)だった。
2つの介入群と対照群とのアウトカムを比較するとともに、2つの介入群間の比較が行われた。2つの介入群では、プライマリ・ケア医が定期外来受診時に、介入への参加を促す働きかけが行われた。
自発群とは有意差あるが、2つの介入群間に有意差は認められず
試験期間は24ヵ月だった。基線からの体重減少は、対照群0.8kg減であったのに対し、遠隔支援介入群4.6kg減(対照群との比較についてp<0.001)、+対面支援介入群は5.1kg減(同p<0.001)だった。
初期体重より5%以上減量を達成した被験者の割合は、対照群18.8%だったのに対し、遠隔支援介入群38.2%、+対面支援介入群41.4%であった。基線からの体重変化は、2つの介入群間で有意な差は認められなかった。
(武藤まき:医療ライター)