心血管バイオマーカーは本当に有望視できるのか?

提供元:ケアネット

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公開日:2011/12/16

 



心血管バイオマーカーについて、観察的研究からの結果報告と比べて、無作為化試験からの報告ではしばしば有望視できない結果が報告されることが、ギリシャ・Ioannina大学医学校のIoanna Tzoulaki氏らによるメタ疫学研究の結果、報告された。非常に多くの心血管アウトカム予測因子としてのバイオマーカーが開発されているが、一方で効果サイズやバイアスのつり上げに関する疑念が呈されている。Tzoulaki氏らは、開発報告では予後関連のデータ検証に、主として伝統的な観察疫学研究の母集団が利用されていることに着目。そのエビデンス検証は、無作為化試験の被験者を母集団として利用することも可能であり、その場合に観察疫学研究母集団から得られたものと同様の結果が得られるのかを検証した。BMJ誌2011年12月3日号(オンライン版2011年11月7日号)掲載報告より。

観察的研究データセットと無作為化試験データセットをメタ解析手法で比較




Tzoulaki氏らは、心血管バイオマーカーの効果サイズについて、観察的研究を母集団とした研究から報告されたものと、無作為化試験から報告されたものとを、メタ解析の手法を用いて比較した。

バイオマーカー(フラミンガムスコアの一部としてではない)のメタ解析が、1つ以上の観察的研究データを母集団に含むもの、および1つ以上の無作為化試験データを母集団に含むものを、Medline(最終アップデート2011年1月)から選定。試験特異的リスク比を特定した全メタ解析から抽出し、(a)全試験の場合、また(b)観察試験と無作為化試験で比較集団を分離した場合それぞれについて効果サイズを検証した。

予後効果は、観察的研究データセットの場合のほうが有意に高い




259件の論文が検索でき、適格となったメタ解析は31件だった。

7つのバイオマーカー[CRP、非HDL-C、リポ蛋白(a)、ポスト負荷グルコース、フィブリノゲン、BNP、トロポニン]の予後効果は、無作為化試験データセットの場合よりも観察的研究データセットの場合のほうが有意に高かった。そのうち5つのバイオマーカーの効果は、無作為化試験では半分以下だった。

31すべてのメタ解析について、観察的研究からの平均データセット率は、無作為化試験からのそれよりも大きな予後効果を示した。全バイオマーカーの効果サイズの推定平均差は24%(95%信頼区間:7~40)だった。