影響力のある医学雑誌の名誉著者とゴースト著者の出現率は21%

提供元:ケアネット

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公開日:2011/12/23

 



JAMA(米国医師会雑誌)サーベイ調査専門家のJoseph S Wislar氏らが2008年刊行の主要な医学専門誌6誌の掲載論文について調査した結果、21%で名誉著者およびゴースト著者の存在が認められたことを報告した。名誉著者、ゴースト著者の存在、関連した透明性やアカウンタビリティの欠如は、サイエンス誌、研究者、教育研究機関にとって大きな課題となっている。本論はWislar氏らが、1996年当時と現状とを比較することを目的に行った調査の結果で、BMJ誌2011年12月10日号(オンライン版2011年10月25日号)に掲載された。

ウェブアンケートで国際的な横断調査を実施




Wislar氏らは、2008年に出版された主要な総合医学専門誌6誌における名誉著者とゴースト著者の出現率を調べ、これを1996年に出版された論文の著者について報告された出現率と比較するため、ウェブアンケートによる国際的な横断調査を行った。

評価の対象となったのは、2008年刊行の総合医学専門誌6誌(Annals of Internal Medicine、JAMA、Lancet、Nature Medicine、New England Journal of Medicine、PLoS Medicine)に掲載された研究論文(research article)、総説(review article)、エディトリアル/オピニオン論文(editorial/opinion article)の計896本の責任著者(corresponding author)。

彼らに対し30項目にわたるアンケートを行い、その回答にみられたICMJE(International Committee of Medical Journal Editors)オーサーシップ基準へのコンプライアンスの度合いを主要評価項目とした。
ゴーストは減ったが名誉著者は相変わらず




アンケートに回答したのは896人中630人(70.3%)だった。

結果、名誉著者、ゴースト著者、あるいは両方が認められた論文は21.0%(95%信頼区間:18.0~24.3%)で、1996年に報告された29.2%からは減少していた(P=0.004)。

しかし、名誉著者に関する545件の回答から、96論文(17.6%、95%信頼区間:14.6~21.0)に名誉著者が含まれていることが明らかとなり(雑誌によって12.2~29.3%の変動)、この割合は1996年の調査時(19.3%)と比べ有意な変化は認められなかった(P=0.439)。

一方でゴースト著者に関する622件の回答からは、49論文(7.9%、同:6.0~10.3)にゴースト著者が存在し(雑誌によって2.1~11.0%の変動)、1996年の調査時(11.5%)と比べ有意に低下していたことが明らかとなった(P=0.023)。

名誉著者の出現率は、オリジナル研究報告で25.0%、レビュー15.0%、エディトリアル11.2%だった。一方で、ゴースト著者の出現率は11.9%、6.0%、5.3%だった。

Wislar氏はこれら結果を踏まえ、「今回の結果は、オーサーシップの信頼性、アカウンタビリティ、透明性を促進するため、またサイエンスパブリケーションの健全性を維持するために、サイエンス雑誌、個々の著者、学術研究機関によるさらなる努力が欠かせないことを示唆するものである」と結論している。