高齢女性の最適な骨粗鬆症スクリーニングの実施間隔は?

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2012/02/01

 

 65歳以上の女性に対し、骨塩量(BMD)測定による骨粗鬆症スクリーニング(BMD Tスコアが-2.50以下は骨粗鬆症)の実施が推奨されているが、スクリーニングを何年間隔で行えばよいかについての指針を示したデータはほとんどない。米国・ノースカロライナ大学のMargaret L. Gourlay氏らは、基線でBMDを測定し、正常、骨減少症(軽度、中等度、進行)に分類した高齢女性を最長15年間追跡し、それぞれの群の骨粗鬆症発症率10%未満の期間について調べた。NEJM誌2012年1月19日号掲載報告より。

67歳以上女性4,957例の測定BMD値ごとの骨粗鬆症進展について15年追跡
 研究グループは、1986~1988年の間に米国4地域で集められた67歳以上女性で、正常BMD(大腿骨頸部と股関節のTスコアが-1.00以上)、または骨減少症(Tスコアが-1.01~-2.49)であり、股関節骨折や臨床的脊椎骨折歴および骨粗鬆症の治療歴のない4,957例を、最長15年間追跡した。

 BMDスクリーニング実施間隔について、エストロゲン使用と臨床的リスク因子で補正後、股関節骨折あるいは臨床的脊椎骨折の発生が10%未満である期間は、骨粗鬆症発症への進行期間であると定義し、正常BMD群の女性と骨減少症の3つのサブグループ群(軽度、中等度、進行)別の骨粗鬆症累積発症モデルを用いて解析を行った。骨粗鬆症発症の競合リスクは、股関節骨折あるいは臨床的脊椎骨折の発生、ビスホスホネート(商品名:ボナロン、フォサマック)、カルシトニン(同:カルシトランほか)、ラロキシフェン(同:エビスタ)による治療開始とした。

正常BMD、軽度骨減少症の人なら15年間隔で
 結果、BMD検査を実施すべき推定間隔は、正常BMD群では16.8年(95%信頼区間:11.5~24.6年)、軽度骨減少症群では17.3年(同:13.9~21.5)、中等度減少症群では4.7年(同:4.2~5.2)、進行骨減少症群では1.1年(同:1.0~1.3)であることが示された。

 Gourlay氏は、「われわれのデータは、骨粗鬆症発症率10%未満には、正常BMD、軽度骨減少症の人の場合は約15年間隔で、中等度骨減少症の人の場合は5年間隔で、進行骨減少症の人の場合は1年間隔で骨粗鬆症スクリーニングを行うべきことを示すものである」と結論している。

(武藤まき:医療ライター)