小児喘息患者に対するPPI投与の効果は?

提供元:ケアネット

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公開日:2012/02/07

 



小児喘息患者に対するランソプラゾール(商品名:タケプロンなど)の投与は、喘息症状の改善にはつながらないことが報告された。肺機能や喘息関連のQOL(生活の質)についても有意な効果は認められず、一方で呼吸器への感染リスクについては有意な増大が報告された。米国・ジョンズホプキンス大学のJanet T. Holbrook氏らが、300人超の小児喘息患者について行った無作為化プラセボ対照二重盲検試験の結果明らかにしたもので、JAMA誌2012年1月25日号で発表した。小児喘息患者では、一般によく無症候性胃食道逆流疾患が認められる。胃食道逆流疾患が喘息コントロール不良の原因の一つではないかと考えられているが、プロトンポンプ阻害薬(PPI)投与によって喘息コントロールが改善するかどうかについては、これまで明らかにされていなかった。

24週間追跡し、ACQスコアや肺機能の変化を測定




研究グループは、2007年4月~2010年9月にかけて19ヵ所の大学病院を通じ、胃食道逆流症状が明らかには認められていない小児喘息患者で吸入ステロイド治療ではコントロール不良の306例について試験を行った。被験者の年齢は6~17歳で、平均年齢は11歳(SD 3歳)だった。

研究グループは被験者を無作為に二群に分け、一方の群にはランソプラゾール(体重30kg未満は15mg/日、30kg以上は30mg/日)を、もう一方の群にはプラセボを投与した。追跡期間は24週間だった。

主要アウトカムは、喘息コントロール質問票(ACQ)スコアの変化だった。副次アウトカムは、肺機能や喘息関連QOLの変化や、緊急受診といった喘息コントロール不良に関するイベント件数とされた。
ACQスコア、肺機能、喘息関連QOL、いずれも両群で変化に有意差なし




結果、両群のACQスコア変化平均値の格差(ランソプラゾール群-プラセボ群)は、0.2ユニット(95%信頼区間:0.0~0.3)と有意差は認められなかった。また、1秒間努力呼気量の平均値の変化についても両群の格差は0.0L(同:-0.1~0.1)で、喘息関連QOLスコアの平均値の変化も両群の格差は-0.1(同:-0.3~0.1)と、いずれも有意差は認められなかった。

ランソプラゾール群のプラセボ群に対する、喘息コントロール不良に関するイベント発生の相対リスクは1.2(同:0.9~1.5)で、有意差はなかった。

一方で、ランソプラゾール群はプラセボ群に比べ、呼吸器感染リスクが高く、相対リスクは1.3(同:1.1~1.6)だった。

また、食道pH測定を受けた115例の胃食道逆流症有病率は43%だった。これらサブグループについても、ランソプラゾール群とプラセボ群でアウトカムに有意差はなかった。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)