浸潤性乳がんで部分切除術を受けた人の再切除率は、切除断端部の状態によって異なり、また切除断端部陰性の人については、執刀外科医や医療機関によって大きなばらつきがあることが明らかにされた。米国・ミシガン州立大学のLaurence E. McCahill氏らが、2,000人超について行った観察研究の結果明らかにしたもので、JAMA誌2012年2月1日号で発表した。
再切除率は全体では23%、断端部陽性では86%
研究グループは、2003~2008年に、米国4ヵ所の医療機関で浸潤性乳がんで部分切除術を受けた2,206人について、その再切除率とリスク因子について調査を行った。
結果、再切除を行ったのは、全体の22.9%にあたる509人で、そのうち再切除1回は454人、同2回は48人、同3回は7人だった。
再切除率は、切除断端部が陽性の人で高く85.9%(陰性は84.4%)、また断端部マージン別では1.0mm未満だった人が最も高く47.9%、同1.0~1.9mmが20.2%、同2.0~2.9mmが6.3%だった。
断端部陰性の再切除率、医師により0~70%と大きなばらつき
切除断端部が陰性だった人について見てみたところ、再切除率は、執刀外科医(実施率範囲:0~70%、p=0.003)や、手術を行った医療機関(同:1.7~20.9%、p<0.001)によって、大きなばらつきが認められた。切除断端部陰性の再切除率が最も高率だった医療機関の、同低率だった医療機関に対する再切除実施に関するオッズ比は、6.16(同:2.26~16.78)だった(p<0.001)。
執刀外科医の手術件数と再切除率との関連は、ケースミックスで補正後、認められなかった(p=0.92)。
(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)