小児・青年期の身体活動時間が長いと、心血管代謝リスク因子は良好に

小児・青年期の身体活動時間が長いほど、座位時間の総量にかかわらず、心血管代謝に関するリスク因子は良好であることが明らかにされた。英国・ケンブリッジ大学アデンブルックス病院代謝科学研究所のUlf Ekelund氏らが、2万人超の4~18歳に対して行ったメタ解析の結果、報告したもので、JAMA誌2012年2月15日号で発表した。これまで、健康児における身体活動時間と座位時間との複合でみた心血管代謝リスクとの関連についてはあまり検討されていなかった。
被験者の中等度~強度の身体活動時間の平均値は1日30分
研究グループは、1998~2009年にかけて行われた14試験に参加した4~18歳のデータベース「Children’s Accelerometry Database」から、計2万871人のデータについてメタ解析を行った。中等度~強度の身体活動(moderate- to vigorous-intensity physical activity:MVPA)時間、座位時間と、ウエスト周囲、収縮期血圧、空腹時トリグリセリド値、HDLコレステロール値、インスリン値の関連を分析した。
被験者の、MVPA時間の平均値は1日30分(SD:21)、座位時間は1日354分(同:96)だった。
MVPA時間が長いと心血管代謝アウトカムは良好、座位時間が長い群で格差が顕著
MVPA時間は、すべての心血管代謝アウトカムと有意に関連しており、性別や年齢、日中活動時間、座位時間、ウエスト周囲とは独立していた。一方で座位時間は、いずれの心血管代謝アウトカムとも関連しておらず、MVPA時間と関連していなかった。
被験者データは、MVPA時間と座位時間をそれぞれ三分位範囲(短・中・長時間)に層別化して検討された。層別化に基づく複合解析の結果、MVPA時間は長いほど心血管代謝リスク因子は良好であることが認められた。その関連は、座位時間、三分位範囲いずれの群においても認められた。
MVPA時間の長短によるアウトカムの格差は、座位時間がより短いほど大きかった。具体的には、MVPA時間の長時間群と短時間群とのウエスト周囲格差の平均値は、座位時間長時間群では5.6cmだったのに対し、短時間群では3.6cmだった。また、MVPA長時間の群と短時間群との収縮期血圧格差の平均値は、座位時間長時間群で0.7mmHg、短時間群では2.5 mmHgだった。HDLコレステロール値の同格差平均値も、それぞれ-2.6mg/dLと-4.5mg/dLだった。トリグリセリド値とインスリン値の格差も同様だった。
これらのアウトカム格差をもたらしたMVPA長時間群の同時間は35分/日以上であり、一方短時間群の同時間は18分/日未満だった。
被験者のうち6,413人を2.1年間前向きに追跡した解析結果では、MVPA時間と座位時間の複合はフォローアップ時において、ウエスト周囲とは関連していなかったが、基線でウエスト周囲が大きかった群は座位時間が長時間であることとの関連が認められた。
(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)
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