卵円孔開存を有する原因不明の脳卒中、閉鎖術は薬物療法単独を上回らない

卵円孔開存症がみられる原因不明の脳卒中や一過性脳虚血発作(TIA)に対する、経皮的デバイスを用いた閉鎖術は、再発予防のベネフィットとしては、薬物療法単独を上回らなかったことが示された。米国・University Hospitals Case Medical Center(クリーブランド)のAnthony J. Furlan氏らが、約900例を対象とした多施設共同無作為化オープンラベル試験の結果、報告した。原因不明の脳卒中患者では、一般的に卵円孔開存の出現率が高く、多くの場合、経皮的デバイスを用いた閉鎖術が推奨される。しかし、この介入が脳卒中の再発リスクを減らすかどうかは明らかではなかった。NEJM誌2012年3月15日号より。
薬物療法と閉鎖術を比較
研究グループは、原因不明の脳卒中またはTIAを呈し、卵円孔開存症が認められた18~60歳の患者を対象に、薬物療法単独と経皮デバイスを用いた閉鎖術のベネフィットについて検討した。
主要エンドポイントは、フォローアップ2年の期間中における脳卒中またはTIAの発症、介入初期の30日間における全死因死亡、31日目から2年までの間の神経系の原因による死亡の複合とした。
試験には、2003年~2008年の間に米国とカナダ87施設から合計909例の患者が登録された。
脳卒中・TIAの2年累積発生率、両群間で有意差なし
主要エンドポイントの累積発生率(Kaplan-Meier推計値)は、閉鎖術群が5.5%(447例)に対し、薬物療法群は6.8%(462例)で(補正ハザード比:0.78、95%信頼区間:0.45~1.35)、有意差は認められなかった(P=0.37)。
また、脳卒中の累積発生率についても、閉鎖術群2.9%、薬物療法群3.1%(P=0.79)、TIAの累積発生率はそれぞれ3.1%、4.1%(P=0.44)だった。
介入初期30日間の死亡は両群ともに発生はなく、2年間のフォローアップ期間中の神経系の原因による死亡例もなかった。神経系イベントを再発した患者の原因のほとんどは、明らかに奇異性塞栓症以外のものであった。
(朝田哲明:医療ライター)
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