バイナリアウトカムの無作為化試験で多用される非盲検評価は、推定治療効果に大幅なバイアス効果をもたらしており、オッズ比評価で約36%過大に評価していることが明らかにされた。ノルディック・コクラン・センター(デンマーク)のAsbjorn Hrobjartsson氏らが、同じバイナリアウトカムの盲検と非盲検の試験の評価についてシステマティックレビューを行った結果による。非盲検評価についてはバイアスを疑うことが賢明だとされているが、その影響については明らかではなかった。BMJ誌2012年3月17日号(オンライン版2012年2月27日号)掲載報告より。
同じバイナリアウトカムによる盲検評価と非盲検評価のオッズ比を検証
Hrobjartsson氏らは、PubMed、Embase、PsycINFO、CINAHL、Cochrane Central Register of Controlled Trials、HighWire Press, and Google Scholarから、同じバイナリアウトカムによる盲検と非盲検による無作為化試験を選出し、推定治療効果に及ぼす非盲検アウトカム評価者の影響を調べた。
各々の試験について、非盲検評価者のオッズ比と盲検評価者のオッズ比とを比較し、その比率が<1の場合は、非盲検評価が盲検評価者よりも推定効果をオプティミステッィクに作成したことを示したとした。
逆分散ランダム効果メタ解析による個々のオッズ比比率をプールし、メタ回帰分析によるオッズ比比率の変化の理由を調べ、また、盲検評価者と非盲検評価者間での一致率を分析し、バイアスを中和するための再分類に必要な患者数を割り出した。
非盲検は平均36%過大に評価、一方で非盲検と盲検評価の一致率78%
主要解析の対象となったのは21試験(4,391例)だった。そのうち8件は、個々の患者データが入手可能だった。また大部分の試験のアウトカムは、患者機能の質的評価など主観的なものだった。
そのオッズ比比率は、0.02から14.4までの幅が認められた。また、プールされたオッズ比比率は0.64(95%信頼区間:0.43~0.96)であり、非盲検法ではオッズ比を平均36%過大に評価していることが示された。
オッズ比比率の低値と主観的アウトカムとの有意な関連は認められなかった(P=0.27)。試験への非盲検評価者の全体的な関与(P=0.60)、また、非盲検被験者のアウトカムに対する脆弱性についても(P=0.52)、有意な関連は認められなかった。
データが活用できた12件の試験では、盲検評価者と非盲検評価者の評価の一致率は、中央値78%だった(四分位範囲:64~90%)。また、非盲検評価者による治療効果の過大評価は、1試験で中央値3%(1~7%)の評価患者の誤分類によるものであることが示された。
Hrobjartsson氏は、「非盲検のアウトカム評価は大幅なバイアス効果をもたらしているが、一方で、盲検評価者と非盲検評価者との高いアウトカムの一致が認められ、わずかな患者の誤分類によって修正されるものである」と結論している。