急性骨髄性白血病の遺伝子プロファイリング

提供元:ケアネット

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公開日:2012/04/04

 



急性骨髄性白血病(AML)患者について、その体細胞変異の遺伝子プロファイリングがリスク層別化に有用であり、予後および治療を決定することができる可能性があることが報告された。米国・Sloan-Kettering記念がんセンターJay P. Patel氏らが、60歳未満のAML患者398例の遺伝子プロファイリングについて検証した結果による。最近の研究成果として、体細胞突然変異に予後因子としての価値があることが示されていたが、AML治療における評価は、第3相試験では系統的になされていなかった。NEJM誌2012年3月22日号(オンライン版2012年3月14日号)掲載報告より。

18遺伝子の変異解析から予後因子としての意義を調査




Patel氏らは、60歳未満のAML患者398例をダウノルビシン(商品名:ダウノマイシン)による寛解導入療法を、標準用量または高用量で受ける2群に無作為に割り付け、それぞれについて18遺伝子の変異解析を実施した。そのうえで、104例の独立した患者群で同解析所見についての検証を行った。
 
結果、患者の97.3%で1個以上の体細胞変異が確認された。そして、FLT3遺伝子内の縦列重複(FLT3-ITD、P=0.001)、MLL遺伝子内の縦重複(MLL-PTD、P=0.009)、ASXL1遺伝子変異(P=0.05)、PHF6遺伝子変異(P=0.006)は、全生存率の低下と関連していることが、一方で、CEBPA遺伝子変異(P=0.05)、IDH2遺伝子変異(P=0.01)は、全生存率の改善と関連している所見が得られた。また、NPM1変異は、NPM1変異とIDH1変異またはIDH2変異の両方を有する患者に限って、好ましい効果をもたらすことも確認された。

生存率を改善する遺伝子変異を確認




それら所見を踏まえて、研究グループは、年齢、白血球数、導入量、寛解後の治療法とは独立した、リスク層化を改善する遺伝的予測因子を定めて、独立コホートで、その予測因子としての有意性を検証した。

結果、高用量ダウノルビシン投与群は、同標準用量投与と比較して、DNMT3A変異かNPM1変異またはMLL転座のいずれかを有する患者で生存率を改善することが認められた(P=0.001)。野生型のDNMT3A、NPM1、MLL各遺伝子をを有する患者では改善は認められなかった(P=0.67)。

(朝田哲明:医療ライター)